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 近年の若者は、社会課題の解決など、仕事に社会的意義を求める傾向にあると言われる。その1人が、ソニーで「地球みまもりプラットフォーム」という地球上のあらゆる場所をセンシングして、気候変動などに対応する技術の開発に携わる桐山沢子だ。

 彼女のキャリアを通して、ソニーで実践されている「自分でキャリアを切り開く」働き方に迫る(片山修著『ソニー 最高の働き方』よりの抜粋記事です)。

地球をみまもり、課題を解決する

 ソニーのR&Dのミッションは、「我々の文明を進歩させ、この惑星を持続可能にする」―である。2022年、ソニーグループのCTO(最高技術責任者)に就任した北野宏明が定めた。

「私が携わっているのは、『地球みまもりプラットフォーム』に使われている通信技術の分野です。『超広域センシングネットワーク』と呼ばれるソニー独自の通信規格を用いた通信システムの開発を行っています」

 そう語るのは、ソニー技術開発研究所ネットワーク&システム技術研究開発部門通信技術開発部統括課長、ソニーグループのリサーチプラットフォーム Exploratory Deployment Groupプロジェクトリーダーの桐山沢子(2009年ソニー入社)だ。

『ソニー 最高の働き方』(片山修・著/朝日新聞出版)

「地球みまもりプラットフォーム」は、一言でいえば、地球上のあらゆる場所をセンシング可能にする仕組みだ。

 温暖化による気候変動や人口増加、海洋の酸性化などのグローバルな課題に、「センシング」「通信」「AI」などのソニーの技術を用いて対応しようというのが、「地球みまもりプラットフォーム」のコンセプトだ。

 24年現在、複数の実証実験を行っている。

「人に届ける」が原点

 桐山は、理工学研究科開放環境科学を専攻し、インターネットと通信を軸に情報工学を学び、09年にソニーに入社した。

「中学生の頃、ソニー製のMDウォークマンを買ってもらい、“かっこいいな”と思ったことが強く印象に残っています。できれば、人に商品やサービスを届ける仕事をしたい。楽しく働きたいと考えていました」

 内定者懇談会でメンバーと顔を合わせた際、「気が合いそうだな、楽しく働けそうだな」と思った。桐山のアンテナは、「楽しそう」に敏感に反応する。楽しいかどうかが、物事の判断基準になっているのだ。

 配属されたデジタルイメージング事業部で、コンシューマー向けの「ハンディカム」「サイバーショット」「α」といったカメラのメディアフォーマット機能、再生機能などのアプリケーションの開発を担当した。

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