首相官邸で報道陣の取材に応じる石破茂首相
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 自民党の総裁選は長く「反主流」にいた石破茂氏が勝利し、第102代首相に就任した。石破自民党は、野田佳彦元首相が率いる立憲民主党との対決に臨む。日本を再生できるのはどちらか。天下分け目の総選挙(10月27日投開票)が近づく。AERA 2024年10月14日号より。

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 石破氏は首相指名の前日の9月30日、石破政権が発足したらという条件付きで、10月27日の総選挙の投開票などの日程を明言。これによって(1)臨時国会冒頭の10月1日に首相指名、組閣(2)4日に所信表明演説(3)7~9日に衆参両院での代表質問と短時間の与野党論戦(4)9日に衆院解散(5)15日に総選挙公示(6)27日に投開票──というスケジュールが固まった。地方自治体の選挙管理委員会の事務作業を考慮し、前倒しの決断をしたという。

裏金議員の処遇が焦点

 ただ、実際には野党が求める衆参両院の予算委員会での本格論戦となれば裏金事件などの追及が続く。その場合、発足早々の石破政権が失速しかねないとの判断が石破首相や森山幹事長にあったことは確かだ。

 総裁選の討論会で石破氏は、予算委の論議で与野党の政策を有権者に示したうえで解散・総選挙に臨むべきだと主張していたため、野党からは「党利党略で持論を曲げた」との批判が強まった。

 こうした経緯を経て、総選挙の与野党攻防が本格化する。

 第一の争点は裏金事件だ。自民党が裏金関係議員を公認するのか、しないのか。公認すれば、野党側は批判を強める。選挙期間中は、テレビカメラが各地の「裏金議員」を追い回し、注目を集めるだろう。

 第二の争点は安倍政治の是非となるだろう。金融緩和を軸としたアベノミクスは、一時的な景気回復に寄与したが、格差の拡大や競争力の停滞を招いた。石破自民党が安倍政治を総括しきれない中で野田立憲は安倍政治への批判を強める。年金や介護などの社会保障をどう立て直すか。疲弊する地方をどう活性化するか。国の形を問う議論も必要だ。まさに日本の針路が問われる総選挙である。(政治ジャーナリスト・星浩)

AERA 2024年10月14日号より抜粋