この時期の日本球界では毎年「クライマックスシリーズ(以下CS)の是非」が語られるのが風物詩。CSはプロ野球の人気復活策の一つとして採用されたが、導入時と状況は変わってきており、制度見直しを含めて過渡期に差し掛かっているという声もある。
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今シーズンのCS争いはシーズン最終盤までもつれた。セ・リーグはDeNAと広島、パ・リーグではロッテと楽天が最後のひと枠を巡って壮絶な死闘を繰り広げた。
「両リーグともにCS争いは最後まで目が離せない展開となった。しかしパ・リーグでは優勝チームと2位以下のゲーム差が大きく広がったいびつな状況は例年通り。CSの規定について様々な意見が噴出するのは当然でしょう」(在京テレビ局スポーツ担当者)
両リーグの優勝決定日はパ・リーグのソフトバンクが9月23日、セ・リーグの巨人が9月28日と比較的、遅い時期となった。しかしソフトバンクは早くから首位に立ち、2位・日本ハムに大差をつけてのリーグ制覇となった。
「毎年議論にあがるが、これだけのゲーム差をつけながらCSファイナルのアドバンテージは1勝しかない。下位チームが勝ち抜く“下剋上”は盛り上がるが、『強いチームを決める』という本来の趣旨からすれば疑問も残る。短期決戦で夢が潰えるのは、納得いかない気持ちもある」(ソフトバンクOB)
CS(当初の名称はプレーオフ)はレギュラーシーズンの消化試合を減らす目的もあり、2004年にパ・リーグが導入すると、2007年にはセ・リーグもそれに続いた。以後、規定や呼称のマイナーチェンジを経て今日に至る。
2010年にはロッテがリーグ3位から日本一になったことで“下剋上”という言葉が市民権を得た。見ている側からすると「面白い」のは間違いないが、選手や関係者からするとCSという短期決戦で負ければ「長いシーズンでの戦いが無に帰する」ことにもなるため議論は尽きない。他にも。セ・リーグを制した巨人と2位・阪神が終盤まで激しい優勝争いを繰り広げたが、再びCSで“仕切り直し”ということを考えると、天王山などでいまいち気分も盛り上がらないという声もあった。