3年ぶりとなった「とちぎ国体」の開会式で、天皇陛下は「スポーツのすばらしさを実感しつつ、お互いの友情を育み(略)すばらしい思い出を作ってください」と述べた=2022年10月、宇都宮市

「陛下が勇気づけてくださる」

 令和の天皇陛下と皇后雅子さまが国スポの開会式に出席したのは、今年の「SAGA2024国民スポーツ大会」で4回目となる。

 22年に栃木県で開かれた「とちぎ国体」の開会式では、天皇陛下はおことばのなかで、終戦直後の厳しい状況下で、スポーツの復興を願う人々の熱意で第1回大会が開催されたこととともに、令和に入ってからはコロナ禍で2年間開催できなかったことを挙げて、選手や大会関係者らの苦労をねぎらった。
 

 一方で、選手や関係者らに深い印象を残したのは、後半に述べられたおことばの表現だった。

「この度の大会を通じて、選手の皆さんには、日頃の練習の成果を十分に発揮されるとともに、改めてスポーツのすばらしさを実感しつつ、お互いの友情を育み、地元栃木県の皆さんとの一期一会を大切にして、すばらしい思い出を作ってください」

 この時、大会の準備にかかわった関係者は、こう振り返る。

「嬉しかったのは、天皇陛下がこれから新しい大会の名称となる『スポーツ』という言葉を、平成の時代とも令和元年の大会のおことばとも違う、みずみずしい表現でお言葉に取り入れてくださったことです。2年間、コロナ禍で我慢を強いられた選手や皆さんを勇気づけてくださっているように感じました」

「国民体育大会」から変わった「国民スポーツ大会」でも、新しい歴史と記憶が刻まれていくことだろう。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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