手や足などの神経は、脳からの指令を受けて動いていますが、自律神経は、意思とは関係なく勝手に働き、生命を維持するために必要な心拍や血圧、体温、消化活動の調節などを行っています。

 自律神経は、大きく「交感神経」と「副交感神経」の2つに分けられます。車にたとえると、基本的には、交感神経がアクセルの働きを、副交感神経がブレーキの働きをしており、交感神経が優位になると、心身が緊張して活動に適した状態になり、副交感神経が優位になると、心身がリラックスし睡眠や休息をとりやすくなります。

 ほとんどの臓器は、交感神経が優位になると活発に働き、副交感神経が優位になると活動が緩やかになるのですが、胃や腸などの消化器官においては、交感神経が優位なときにはぜん動運動が抑制され、副交感神経が優位なときには活発になります。

 交感神経と副交感神経がスムーズに切り替わり、アクセルとブレーキの両方がよく効く状態こそが、自律神経のバランスがとれた状態であり、自律神経がバランスよく働いてくれることは、人が健康に生きていくうえで必要不可欠なのです。

 ところが、睡眠の質の低下や過度のストレスなどによって自律神経のバランスが崩れると、「眠れなくなる」「気分が落ち込む」「やる気や集中力がなくなる」「食欲がなくなる」「疲れやすく、疲れが取れにくくなる」「病気にかかりやすくなる」など、心身にさまざまな不調があらわれます。

 夜更かしをしたりストレスを抱えたりすることが多い現代人には、自律神経の乱れによって体調を崩している人が少なくありません。

 腸と自律神経も相関関係にあり、自律神経のバランスが崩れて交感神経優位な状態が続くと、腸のぜん動運動などが適切に行われなくなり、便秘や下痢などが起こりやすくなります。また、腸の働きが悪くなると、自律神経のバランスも崩れます。

 「自律神経が乱れて腸の働きが悪くなり、さらに自律神経が乱れ、腸を含め心身の調子がどんどん悪くなる」といった悪循環もしばしば起こります。

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腸内細菌のバランスがお腹の不調に影響