食物繊維のサプリでまさかの事態

 例えば鉄分だ。「貧血対策に」とサプリを飲んでいても、貧血症状がなく、血液検査でも異常がなければ、無駄に鉄分を摂り過ぎている恐れもある。鉄分の過剰摂取が、健康被害につながることも起こりうる。

 食物繊維のサプリですら、こんなことがあった。ある女性が便秘対策にと食物繊維のサプリを飲み始めたら、おなかが張ってしまった。主治医に話すと、こう苦言を呈された。

「便の材料が少ない便秘には、食物繊維の摂取は有効。しかし、あなたのように材料は十分だが腸の動きが悪い便秘では、腸が詰まって便秘が悪化することがある。今後はサプリを飲む前に相談してください」

 小林製薬の〝紅麹サプリ〟の一件で、『サプリが100%安全なものではない』と認識した方もいるだろう。

「けれども、大半の人が薬の副作用ほど、サプリの副作用は気にしていない」(岡田院長)

 サプリにはさまざまな成分が少しずつ入っている。

「知識もなしに飲み続けていると、体に不調が生じることがあります。サプリには用法・用量が明確に記されていません。サプリとは別に処方薬を飲んで、ある成分を重ねて取ってしまう可能性もあります。さまざまなサプリを複数飲めば、多量摂取のリスクがあります」

サプリは魔法のアイテムではない

 岡田院長はサプリの役割を認めつつ、飲む際は次の点を念頭に置くことを強調する。

★目的に合ったサプリか

★体の不調があるなら、サプリを飲む前に病院で検査を

「不調があるなら、まずは病気を疑うべきです。『貧血があるので鉄分のサプリを飲み始めた。貧血が良くなったと思っていたら、後に貧血の原因として胃がんが判明した』といったケースもありうる。サプリは不調があるから摂取するものではないのです」

 サプリは不調を改善する、魔法のアイテムではない。そのことを肝に銘じておきたい。

 ライター・羽根田真智

暮らしとモノ班 for promotion
「昭和レトロ」に続いて熱視線!「平成レトロ」ってなに?「昭和レトロ」との違いは?