PTA活動にはさまざまな課題がある。改革は徐々に進んでいるが、残念ながら挫折するケースも少なくない。一方、強硬な手法でPTAを変えようとすることに危機感を覚える保護者もいる。
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自分だけではなかった
マユミさん(仮名、50代)は、今春まで長崎県の小学校のPTAで広報部長を務めていた。
マユミさんは以前から、PTAの広報紙のあり方に違和感を抱いてきた。紙面は運動会など、学校行事に参加する子どもの写真のオンパレードで、肝心なPTA活動について伝える内容がほとんどなかった。
「どのPTAもそうだと思いますが、本部役員以外のほとんどの会員は、『PTAが何をやっているのか』を知りません。本来、PTAの広報紙は、PTA活動について伝えるもののはず」(マユミさん)
違和感が決定的になったのは7年ほど前。広報部員だったマユミさんが市のPTA連合会(市P)主催の研究大会に出席したときのことだ。市PはPTAの広報紙について、以下の指針を示していた。
「会員のみなさまにPTA活動の様子や、必要な情報を伝え、関係者の子育てに関する意識を啓発し、さらなる『学び』のきっかけになる」
しかし、他校の保護者から「広報紙は学校行事の『写真集』になりがち」だと、問題が提起された。違和感を抱いていたのは自分だけではないのだ、と思った。
PDF配信を提案すると
マユミさんは3年前に広報部長に就任。「楽しくて役に立つ話題や問題提起のある広報紙を作りたい」と本部に提案した。だが、PTA会長は従来路線にこだわり、提案を却下。「学校行事に沿った、子どもたちの写真がたくさん載った、文字の少ない広報紙にしてください」とした。
広報紙の発行回数を年2回から1回に減らすように指示された。オールカラーで刷られており、印刷会社への支払いがかさんでいた。
そこでマユミさんは、こう提案した。
「PTA活動について広報するには、ある程度の発行回数が必要です。自分たちで広報紙を刷るとか、PDFで配信すれば、費用は抑えられます」