映画「傲慢と善良」(9月27日公開)で、婚活で知り合いすれ違うカップルを演じた。思考を掘り下げ、想いをまっすぐ言葉にする二人からは、深い信頼が垣間見えた。 AERA2024年9月23日号より。
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映画「傲慢と善良」で、藤ヶ谷太輔は主人公の西澤架(かける)を、奈緒はマッチングアプリで知り合った控え目な恋人、坂庭真実(まみ)を演じた。1年付き合っても結婚に踏み切れずにいた架は、真実からストーカーの存在を告白されたことをきっかけに、彼女を守るためようやく婚約を決意。その直後、真実が姿を消したことにより、架は彼女の過去と向き合うことになる。
藤ヶ谷と奈緒は旧知の仲であり、お互いに出演する舞台にも足を運んできた。共演は2回目。お互いが撮影現場で感じる“凄さ”とはどのようなものなのだろう。
年々、解放されている
藤ヶ谷:奈緒さんとお芝居をしていて感じるのは、「バシッと当ててくる方だな」ということ。と言っても、決め打ちというわけではなく、緩やかさとしなやかさと瞬発力があり、そのうえ余白もある。お芝居を構築していく過程には大変なこともあるのかもしれませんが、自分がご一緒している現場では、それすらも楽しんでいるように見えます。どんなに忙しくても撮影に間に合わせるプロ根性も感じますし、何よりいつも楽しそうにお芝居をされていますよね。
奈緒:楽しいですね。年々、自分のなかの縛りから解放されているような感覚があります。「ここまで持っていかなければ」と定めていた“的”のようなものが段々と大きくなり、「こういう感じでもいいのかもしれない」と、その場で起こっていることを純粋に楽しめるようにもなりました。
お芝居を始めた頃は「定まっていないまま現場に立つ」って、とても怖いことだったんです。でも、現場で「どうしよう」と迷う時間も最近は怖くなくなりましたし、少しずつ、自分のことがわかるようになってきた気もしています。