スウィフトのハリス支持表明という後押しによって、ハリスはトランプに勝てると思うか?ーーという質問に、マサチューセッツ州ボストン在住のサーピーは「その可能性はあると思う」と答える一方、ミシガン州という激戦地に住むケインは「テイラーのハリス支持が勝利の決め手になることはない。民主党にエネルギーを注入する効果はあるけど」と即答した。
コロナ禍中、高校の授業がリモートで行われる中、毎日スウィフトの音楽を聴いて慰められ、喜びと希望を忘れずにすんだと語るケインは「テイラーのコンサートに行くとファン同士の連帯を強く感じられて、政治的に分断された世の中の現状とは全く違った景色が見える」と語る。
その一方で、ケインは、ガザに住むパレスチナ人たちがイスラエルからの爆撃を受け、すでに大量の死者が出ていることに、スウィフトが沈黙していることには失望した気持ちを抱いてもいる、と吐露した。
サーピーも、スウィフトのファンならばスウィフトがすることを全て肯定すべきという崇拝型のファンとは自分は一線を画している、と言う。
「いくらスターであっても彼女はあくまでひとりの人間。どんなにフォロワー数が多くても、巨万の富を手にしていても、ひとりの女性であることには変わりなく、女性が発言すれば、男性が発言するのとは全く違ったレベルのとんでもないバッシングを受ける。今回で言えば、たとえばイーロン・マスクは早速、性的脅しと取れるメッセージをテイラーに対してX上で掲載した。テイラーがそれに恐怖を感じないわけがなく、彼女が批判を受けずに呼吸ができる日は1日たりともないはず。それでも自分が持つパワーを使って世の中を変えようとする彼女に、私は共感する。私は猫ではなく、犬派だけど、同じ子どものいない女性として連帯したい」と語った。
(在米ジャーナリスト・長野美穂)
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