竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 今回はローソンの「人事制度」についてお話しします。このたび、企業理念である「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」の原動力となる「働きがいのある企業」になることをめざし、人事制度の一部を改定しました。

 一つは、病気など何らかの理由で勤務制限が必要な場合でも働き続けられるために2018年から導入している「フレキシブル正社員制度」の改定です。

 対象者をアクティブシニア正社員、限定正社員、嘱託社員を除く全社員に拡大。これまでは「育児」「看護・介護」「がん治療」としていた適用事由に、「がん治療以外の病気治療」「不妊治療」「その他の個人事情」(リカレント教育等)を加えました。さらに、勤務地を限定する必要がある場合の給与減額も解消することにしました。

 介護で「本当は勤務地を指定して働けたら親の近くにいられるのに」といった思いを抱えながら働いてきた方もいるかもしれません。18年の制度導入以降、「より働きやすい職場」へと、少しずつ充実させてきました。また、これまでアクティブシニア正社員のみが対象だった「副業・兼業ガイドライン」も、対象者を全社員に拡大しました。

育児や介護など価値観に寄り添った人事制度に

 人生の中では、思い切り仕事に打ち込む期間もあれば、「今は育児を中心に」とか、親の介護が必要になってきたら「そばにいたいな」など、価値観は変わっていって当然です。

 そんな自分の価値観に寄り添い、自分らしく生きていくこと。責任ある仕事をこなしていくこと。双方を実現できる働き方に、一歩でも近づいていけたらいいなと考えます。

 ただ、制度だけ存在して活用されないと意味がありません。今回の改定で皆が「よりよい働き方」についてさらに理解し、進んでこの制度を利用できる雰囲気づくりを進めていきたいと思っています。

AERA 2024年9月23日号

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竹増貞信

竹増貞信

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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