巨人打線につかまり天を仰ぐ広島・栗林(9月11日)
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 勝利を目前にしていただけに、ダメージが大きい敗戦だ。広島が首位攻防戦となった9月11日の巨人戦で、2点リードの九回に大量9点を奪われ逆転負け。九回から登板したのは防御率0点台だった守護神・栗原良吏だが、制球が定まらず、2安打4四死球と1死も取れずに降板したのが誤算だった。

【写真】今季の広島で期待を裏切った助っ人2人

 試合数は巨人より3試合多く残っているが、広島は今月に入って2勝7敗と失速(9月11日終了時)。勢いを完全に失っているが、広島の民放テレビ関係者は戦いぶりを評価する。

「よく頑張っていると思いますよ。4年連続Bクラスから昨年は2位に躍進しましたが、戦力を見たら巨人、阪神、DeNAに明らかに見劣りする。長年チームの中心選手だった西川龍馬がFAオリックスに移籍し、長距離砲の末包昇大もシーズンの半分を故障で離脱していた。小園海斗が4番を務めていましたが、本来は1、2番を打つチャンスメーカーです。ベンチワークでやりくりしてきましたが、長丁場のペナントレースではどうしても厳しくなる」

チーム打率はリーグ最下位

 広島の生命線は投手陣だ。先発は大瀬良大地、床田寛樹、九里亜蓮、森下暢仁の4本柱に加え、アドゥワ誠、玉村昇悟が一本立ちしてさらに強固になった。救援陣もハーン、島内颯太郎、塹江敦哉、森浦大輔、黒原拓未ら多士済々のセットアッパーから守護神・栗林につなぐ必勝パターンが確立している。チーム防御率2.40はリーグトップだ。

 今月に入って投手陣が痛打を浴びる場面が目立つ。だが、課題は得点力だ。打線は9試合で4得点以上奪った試合が1試合のみ。今季のチーム打率.236はリーグ最下位で、49本塁打はリーグ最少、360得点はリーグ5位だ。
小園、秋山翔吾、野間峻祥、坂倉将吾など巧打者は多いが、長距離砲は末包のみで迫力不足は否めない。中軸で期待していた助っ人外国人2人が稼働しなかったことも誤算だった。ジェイク・シャイナーは12試合出場で打率.133、1本塁打。8月1日に登録抹消され、ファームで調整している。マット・レイノルズは開幕2戦目の3月30日のDeNA戦で左肩の不調で途中交代。翌31日に登録抹消された。6月下旬に左肩を手術し、今季中に復帰するめどが立たないため、球団から契約解除を受けて退団が決まった。

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