姿勢がぶれない新井監督

昨年の苦い経験が糧になるか

 新井監督を現役時代から知るスポーツ紙記者が語る。

「新井さんは現役時代から献身的なプレーを大事にしてきました。ホームランを打ったり、派手な活躍をした選手がスポットライトを浴びますが、スターだけでチームは成り立たない。広島、阪神で4番を務めましたが、縁の下の力持ちとなる選手の重要性を感じていました。苦しい状況になったときに新井監督がベンチでマイナスのオーラを出さず、選手批判をしないのは自身の野球人生で培った哲学だと思います」

 新井監督が就任して招聘した藤井彰人ヘッドコーチの存在も大きいという。

「藤井コーチはまさに『広島の頭脳』になっています。現役時代は『2番手捕手』の期間が長かったですが、阪神でチームメートとなった新井監督と野球観があって意気投合した。勝つ組織を作るためにはどうするべきかをよく知っている。監督とともに、戦力で見劣りしても、ベンチワークや攻守の細部にこだわり、白星を重ねています」(同じスポーツ紙記者)

 広島には昨年の苦い経験がある。夏場まで優勝争いを繰り広げていたが、リーグ制覇した阪神が8月以降に34勝16敗1分と独走態勢に入ったのに対し、広島は22勝25敗3分と失速。最終的に11.5ゲーム差をつけられた。直接対決で9勝15敗1分と負け越したことも敗因だった。

 今年も逆転優勝への道が厳しくなったことは間違いない。ただ、首位・巨人とは本拠地・マツダで直接対決を4試合残している。新井監督、コーチ陣、選手たちは誰一人として下を向いていないだろう。選手たちは「新井監督を胴上げしたい」と口をそろえる。残り20試合。最後の力を振り絞り、逆転優勝を目指す。

(今川秀悟)

暮らしとモノ班 for promotion
賃貸住宅でも大丈夫!?憧れの”壁掛け棚”を自分の部屋につけてみた