立ち止まって、抜け出して、また立ち止まって。子どもの毎日だって右肩上がりじゃなくていい、と思う今日この頃
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 先週に多く読まれた記事の「見逃し配信」です。ぜひ御覧ください(この記事は「AERA dot.」で2024年9月3日に配信した内容の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)。

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 3人の子どもの不登校を経験し、不登校の子どもやその親の支援、講演活動などを続ける村上好(よし)さんの連載「不登校の『出口』戦略」。最終回となる今回のテーマは、「不登校の『出口』の先に何があるのか」です。

 夏休みが終わりました。学校に行くことができているお子さんもいれば、行くことができないお子さんもいると思います。8年前のこの時期、私も思っていました。「ああ、やっぱり行けなかった」。長男の不登校が現実のものになり、これからどうしようか、と悩んでいたころです。

 それもいまとなっては、「そういえば、あの頃は大変だったなぁ」と思う程度になりました。しんどい思いをしている親御さんもいると思いますが、私のように言える日は必ずきます。そう思っていただくためにも、今回は、実際に不登校を経験したわが家の3人の子どもたちがどうなっているのか、つまり、不登校の「出口」の先に何があるのか、ということをお話ししたいと思います。

 まず、長男です。高校2年で不登校になり、その後引きこもりも経験しました。若者支援団体に出会い、7カ月ほどお世話になって劇的変化を遂げて帰ってきてからは、いくつかのアルバイトを経験しました。いわゆるフリーターです。

 私自身が長男に、「どういう仕事が最終的に合うかなんてわからない。新卒一括採用で就職していないということを活かして、どうせならこの際、いろんな職業を経験してみたらいいよ。そのうちにだんだんと、この仕事は向いている、この仕事は向いていない、あるいは、こういうことやってみたいな、ということが必ず出てくるから。それが見えるまではとにかくどんな職種でもやってみるのがいいんじゃない?」とアドバイスしたことは、以前もお話ししました。

 実際、長男はさまざまな仕事を経験しました。飲食の現場をいくつか経験し、自分なりにやり切ったと感じたようで、次に目指したのは秋葉原。とにかく秋葉原が大好きで「秋葉原で働きたい!」と、カードゲームのお店から、パン屋さん、お土産屋さんと存分に秋葉原勤務を楽しみました。

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長男と二人で「親子講演会」