
恋人だった二人が夫婦になり、関係性が変化していく。宇宙を舞台にしても描かれるのは普遍的な「夫婦とは何か」の問いだ。
新木:設定は特殊ではありますが、こういう夫婦の話って実際にもあるのではないでしょうか。私はまだ結婚していないので、この作品で恋人と夫婦の違いを学べた気がします。夫婦だからこそ、相手に自分の嫌な部分も見せられる。でもその安心感は悪い方にも作用してしまうんだなと。相手を「自分のもの」にするんじゃなく、人と人として尊重し合うこと、相手を重んじることがどれだけ大切なのかと勉強になりました。それにナオキだけが悪いんじゃなく、マユミにも悪いところはあったと思うんです。
伊藤:え~、そうかな?
世界が身近になった
新木:マユミももっと大人になれていたら、ナオキに寄り添える手段や時期があったかもしれない。テクノロジーが発展していなければ、この夫婦にはもしかしたら違う道があったんじゃないかと思います。
テクノロジーの進歩は俳優の世界にも大きく関わっている。本作はAmazonオリジナル作品として世界同時配信される。
伊藤:僕が俳優をはじめたころとは全く違う世界ですよね。世界が身近になったというか、世界の作品がどこにいても見ることができるなんて、いい世の中が来たなと感じます。そしていつの時代もどんな国でも「作品を良くしたい」という熱意は変わらないと本作に参加して思いました。
新木:これまでは他の国に作品を届けるハードルは高かったと思いますが、配信というツールで世界中の人につながる環境ができた。本作の撮影で垣根がない世界を改めて感じましたし、作品を通して国と国をつなげていける可能性を秘めていると思います。
伊藤:新木さんはYouTubeで発信もしているよね。
新木:YouTubeやSNSは今の自分を確認できる場所という感じです。自分がそのとき伝えたいと思ったことをダイレクトに伝えられることは楽しい。俳優業にとってもデトックス効果があるというか、いい表現につながっているのかなと思います。
伊藤:僕も時代に乗り遅れちゃいけないですね(笑)。
(構成/フリーランス記者・中村千晶)
※AERA 2024年9月16日号