埼玉県川越市のヤオコー本社
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 人々の日常生活を支えるスーパー。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」の企画「第5回スーパー総選挙」で、過去4回の総選挙でいずれも1位だったオーケーを破り、埼玉県発祥のヤオコーがトップに輝いた。AERA 2024年9月16日号より。

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埼玉県民が動いた?

 もしや埼玉県民が動いたか? そんな勝手な疑念を、この方にぶつけてみた。埼玉情報発信サイト「そうだ埼玉.com」編集長で、『なぜ埼玉県民だけがディスられても平気なのか?』の著書もある鷺谷政明さんだ。

「ヤオコーが1位になったのは、埼玉県民にとってうれしいこと」と前置きして、こう語る。

「でも埼玉の人気スーパーにはヤオコーのほかに、今回15位だったベルクもあります。本気で埼玉県民が応援したら、ベルクも上位に上がってくるはず。この結果は、やはりヤオコーの実力でしょうね」

 鷺谷さんによれば、「歴史と信頼」のヤオコーに比べて、ベルクは「柔軟にチャレンジする」スーパー。エコなレジ袋を無料で配布したり、社員の髪形等の制限緩和、レジ椅子導入など、働き方改革にも取り組んでいる。

「若い人が多いのはベルク、高齢者が多いのはヤオコーとすみ分けもされていて、県内では甲乙つけがたい人気スーパーと言えますね」(鷺谷さん)

 スーパー業界に詳しい流通アナリストの中井彰人さんによると、関東ロードサイド3強スーパーと言えるのは、「ヤオコー」「ベイシア」「ベルク」。これに「マミーマート」が加わって4強と言うこともあるという。そして注目は、関東最強スーパーの多くが、埼玉県で生まれていることだ。

「3強4強のうち、埼玉県が発祥ではないのは、群馬県のベイシアだけ。もともと埼玉県は、山や海に阻まれない広大な敷地を有することもあって、大きなスーパーが育つ土地として知られています」(中井さん)

フード&ドラッグ進出

 前出、鷺谷さんも埼玉県民を代表して、こう胸を張る。

「いいスーパーがしのぎを削っている土地。県民のスーパーを見る目も肥えています」

 なお中井さんによると、「現在、フード&ドラッグと呼ばれる、泣く子も黙るドラッグストアが、ヒタヒタと関東に進出し始めています」。

 こうしたフード&ドラッグは半分以上が食品売り場。超激安の食品で客を集め、ドラッグストアで儲けを出す新形態だという。スーパーの魅力はもちろん安さだけではないはず。でも次回の総選挙の行方が、早くも気になる今日この頃だ。(ライター・福光恵)

TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」の企画「第5回スーパー総選挙」。1カ月半にわたるリスナーの投票は過去最多の3万7155票を集め、8月29日の結果発表では、過去4回いずれも1位だったオーケーを破り、ヤオコーがトップに輝いた(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

AERA 2024年9月16日号より抜粋