サブリース契約とは
もうひとつ、気をつけたいのが、サブリース契約だ。サブリース契約とは、賃貸管理契約の一種で、サブリース会社が一括借り上げして入居者に転貸する仕組みを指す。
一般的な管理委託契約や自己管理では、オーナーが経営の主体となり、入居者と賃貸借契約を結ぶ。管理委託契約では空室保証契約を結べることもあるが、基本的に家賃保証はない。
対してサブリース契約では、オーナーとサブリース会社が「マスターリース契約」を結んでアパートやマンションを一括で借り上げする。その後サブリース会社が入居者と「サブリース契約」を結び、オーナーには毎月一定の賃料が支払われる仕組みだ。
一般的な賃貸借契約は、オーナーが入居者と直接賃貸借契約を結ぶ2者間の契約だが、「サブリース」と呼ばれる契約形態は、オーナーがサブリース事業者と一括賃貸借契約を結ぶ「マスターリース契約」と、サブリース事業者が入居者と賃貸(転貸)借契約を結ぶ「サブリース契約」の2つの契約により、“3者間の契約”になる。
サブリース契約は空室率に関係なく一定の賃料が支払われるため、安定した収入を得ることができるのがメリットとされる。また、サブリース会社が主体として経営・管理を行うため、オーナーの時間的、精神的な負荷も軽減できる。
トラブル多数で消費者庁も注意喚起
良いことずくめに見えるかもしれないが、デメリットもある。
主なデメリットが、①サブリース会社が空室リスクを引き受けるため、管理委託契約より手数料が高いこと②契約期間中はオーナーの都合で売却や解約ができないため、需要の変化などに合わせてフレキシブルに経営方針を変えられないこと、③同じ家賃収入がずっと保証されるとは限らないこと――の3点だ。
こうしたデメリットに紐づくトラブル事例は多数報告され、消費者庁が注意喚起する事態にもなっている。主なトラブルが、次の3つだ。
1の賃料減額だが、一般的なサブリース契約では、家賃相場や空室率の変化に応じて数年に一度、賃料の見直しをする契約が多い。しかし、契約から数年後、サブリース会社から大幅な賃料減額交渉を持ちかけられ、トラブルに発展する例がある。