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 それでも家が高すぎる――。だが、家が資産だというなら、運用すればいいのではないか。高騰する住宅価格に悩む現代人を追う連載の6回目は、ワンルームマンション投資について。

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26歳でワンルームマンション投資

「このまま働いているだけでは、将来のお金が不安だったから、マンション投資を始めました」

 こう話すのは都内で働く30歳の男性Dさん。4年前、26歳のときにワンルームマンションを購入、投資を始めた。年収は約500万円。株やFXにも興味があったが、不動産投資についての本を何冊も読み、マンション投資のほうが「購入後の手間がない」と考えた。都内のワンルームマンション購入にあたっては、35年ローンで2800万円を借りた。

 管理は管理会社に一任しているため、「入居者がいれば何もしなくても家賃が入ってくる」(Dさん)。投資を始めてから、「ほとんどほったらかし」だと言う。学生が多い街ということもあり、今のところは入居者がいる状態をキープできている。

個人レベルでできる備えの一つ

「都内なら学生も単身者も毎年入ってくるし、入居者がいなくて困るという状態も起こりにくいのかなと。僕は無理なくほどほどに働きたいタイプで、残業とか必死でやって稼ぐのはしんどい。だけど、年金もこの先どうなるかわからないし、老後のために若いときから投資したほうがいいとか、国も言ってますよね。そういう意味で、個人レベルでできる備えの一つという感覚で始めました」(Dさん)

 ワンルームマンション投資を始める若い会社員が増加傾向にあるという。背景には、「このまま働くだけでは老後の資金が足りない」「若いときから、備えを自分でつくらないといけない」といった意識があるようだ。

「資産を早めに築いて仕事を辞める」という生活スタイルを指す「FIRE」に憧れる若い層も増えたいま、20〜30代の若い層に不動産投資を勧める書籍やウェブサイトも目立つ。

資金がなくても借りられる

 なぜ、ワンルームマンション投資なのか。

「手元の資金がなくても勤めている会社の信用でお金を借りられるのが、他の投資と異なる点です」

 こう話すのは、不動産投資に詳しい明海大学不動産学部の中城康彦教授だ。ワンルームマンション投資を始める人の多くが、頭金なしの35年ローンを組み、2千万〜3千万円の物件を購入する。購入者は、冒頭のDさんのように、20代〜30歳前後の若い会社員が多いという。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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