その一方、ほかの女性皇族と職場が近く、通勤のタイミングに何度か居合わせたことがあるという男性は、こう振り返る。
「皇族方もそのリアクションは、さまざまです。奉迎の人びとに冷たいというより、あまり目立ちたくないといったご様子の方もお見かけします。ある若い女性皇族は、車で出勤する際にお見かけすることも少なくなかったのですが、こちらが手を振っても絶対に窓を開けることなく、静かにうなずくだけの方もいました。自分が手を振ってしまって、迷惑だったかなとすこし落ち込みましたが……」
ルートを変えた皇族も
しかし、皇室側にも「事情」がある。
秋篠宮家の長男、悠仁さまを乗せた車の場合、通学路の途中に人が待っているとわかると、車のルートを変えることもあるという。
皇室の事情に詳しい人物は、こう話す。
「悠仁さまの場合は、ご本人の意思というよりは警備担当者の判断では。父で皇嗣である秋篠宮さまに続き、悠仁さまは皇位継承順位が2位という立場だけに、警備も神経をとがらせているのでしょう」
実際、2019年には悠仁さまが通っていたお茶の水女子大付属中学校の教室に男が侵入し、悠仁さまの机に包丁2本を先端に固定した棒を置いた事件も起きている。
筑波大学附属高校に通う悠仁さまに、通行人がスマホやカメラを向けると、「やめてください」と警察官に止められることもある。
先の皇室の事情に詳しい人物は、こう話す。
「その意味では、若い世代でお手振りを欠かさない愛子さまや秋篠宮家の佳子さまも、万が一のときに危害に遭うリスクを承知で、集まった人たちに応えておられる。特に愛子さまは窓を開けることが多い。皇族としての覚悟をご自身のなかにお持ちなのでしょう」
車の窓を開けて、沿道の人たちに笑顔で手を振る――なにげない光景が、違って見えてくる。
(AERA dot.編集部・永井貴子)