9月に入りました。「AERA dot.」が最近掲載した記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は8月3日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
【写真で見る】「弾丸登山」が危ない! 暴風雨や夜間の救助隊の様子
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山開き以降、今年すでに計6人の登山者が亡くなっている富士山。うち3人は暴風雨のなかでの遭難だった。「救助に向かう隊員たちも命がけです。無理だと感じたら、引き返してほしい」と、静岡県警の担当者は訴える。日本一高くて有名だが、遭難者数の多い山。今、富士山で異常なペースで死者が増えている。登山者はこれからの週末やお盆に集中する。遭難死の教訓は何か。
暴風雨の救助活動が1000万回超表示
7月12日、静岡県警地域課は公式Xに「緊急配信」を投稿。暴風雨のなか、救助要請を受けて出動した山岳救助隊員の映像を公開した。
映像には、横なぐりの雨と突風のなか、富士山御殿場ルート8合目付近を隊員たちが四つん這いで登る様子が映っている。
「うわあ! 進まない」「みんなで固まっていこう!」
そんな叫び声とともに緊迫した状況が伝わってくる。動画は1000万回以上表示された。
悪天候の富士山は危険
静岡県警で山岳遭難対策を統括する地域課の大橋隆司次席はこう言う。
「救助隊員が2次遭難する可能性もあるほどの暴風雨でした。悪天候の富士山がいかに危険か、知ってほしい」
静岡県側の富士山が開山したのは7月10日。この日は朝は好天で、静岡県によると、約1200人の登山者が山頂を目指した。ところが、午後になると天気が急変、暴風雨となった。「山頂付近で男性登山者が倒れている」と、県警に救助要請が相次いだ。
「現場に向かった隊員によると、風が非常に強くて、とても立って歩けるような状況ではなかった。地面に伏せたら、その下を風が吹き抜けて、体が浮き上がったそうです」(大橋さん)
異常なペースで死者が
無事に救助された人もいたが、山頂付近で発見された遭難者のほか、御殿場ルート8合目付近で身動きが取れなくなった男性、富士宮ルートの元祖7合目で行動不能になった男性ら、計3人が11日までに亡くなった。
例年、開山期間中の静岡県側の死者は0~1人。すでに異常なペースといっていいだろう。
「亡くなった方の死因は不明ですが、遭難の原因は、雨で足元が滑りやすくなっていたところを風にあおられて転倒し、動けなくなったことなどが考えられます」(同)