パラサイクリング・杉浦佳子/「買えない手土産を持って帰りたい」と杉浦。2016年の落車事故で高次脳機能障害などが残り、翌年46歳で競技を始めた(写真:SportsPressJP/アフロ)

 東京パラリンピックでは50歳で自転車競技・ロード2冠。「最年少記録は二度とつくれないけど、最年長記録はまたつくれる」という名言を残した杉浦佳子は53歳でパリ・パラリンピックを迎える。有力種目は、競技初日の29日に昨年、世界選手権を制したトラック・女子 3千m個人パーシュート(C1-3)。自身が持つパラリンピック最年長メダリスト記録を塗り替える可能性は十分だ。

車いすラグビーに注目

 東京パラリンピックをきっかけに、年齢、性別、障がいのあるなしにかかわらず、一緒に競いあえるスポーツとして広がったボッチャにも、複数メダル獲得の期待が寄せられる。東京大会では個人で金、チームで銅を獲得したエース杉村英孝も、虎視眈々と連覇を狙う。

 東京パラリンピックでブレイクした競技といえば、男子代表が銀メダルに輝いた車いすバスケットボール。その男子代表はパラリンピック予選で姿を消し、パリ大会には出場できない。団体競技では、これまで車いすバスケの陰に隠れてきた印象の車いすラグビーに注目。リオ大会、東京大会で銅メダルの日本代表は、パリ大会の前哨戦となる国際大会で優勝しており、パリでは悲願の金メダル獲得へ。3大会連続メダルの機運は高まっている。

 選手には障がいに応じて持ち点が与えられ、コート上の選手4人の合計は8点以内(女性選手が1人加わる場合は、合計に0.5点追加)でなければならない。この競技をプレーする選手の中で最も障がいが軽い3.5クラスの“ハイポインター”橋本勝也は、チーム最年少。トライラインにボールを運んで得点したり、相手キープレーヤーの進路をタックルで封じたりするが、同様の役割を担う先輩たちをライバル視し、プレータイムをのばしてきた。22歳で迎えるパリ・パラリンピックは「4年後のロスに向けて先輩たちに安心してもらえるような大会にしたい」と活躍を誓い、新たなエースに名乗りを上げる。

 世代交代の最中にあるブラインドフットボール、パラリンピック独自の球技であるゴールボールの男女代表にも期待大だ。

 選手団の約45%が東京大会でパラリンピックに初出場した選手たち。すなわち、有観客のパラリンピックは初めてという選手が非常に多い。

 水泳の東京パラリンピックの100mバタフライ(全盲S11)金メダリストで、パラリンピックは5大会目の出場になる木村敬一は、水泳チームのスローガンである「熱狂」の発案者だ。

「パラリンピックってもっと熱狂する場所だっていうのをみんなに知ってほしい」

(パラスポーツジャーナリスト・瀬長あすか)

AERA 2024年9月2日号より抜粋

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