バドミントン・梶原大暉/中学2年時に交通事故で受傷。野球経験があり、投球フォームとシャトルを打つ動作が似ていることからバドミントンを始めた(写真:SportsPressJP/アフロ)
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 いよいよパリ・パラリンピックが28日に幕を開ける。日本代表選手団は、メダルラッシュだった五輪の熱狂を引き継ぐことができるか。AERA 2024年9月2日号より。

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「いまパラリンピックは“オリンピックのついで”みたいになっているけど、オリンピックを超える衝撃を与えたい」

 そう意気込みを語るのは、車いすテニスの小田凱人(ときと)。決してメジャーではなかった競技がスポットライトを浴びたパリ五輪を見て、パラリンピックのメダル候補たちは闘志をたぎらせている。

 東京大会と同じ22競技(種目は10増えて549)が行われるパリ大会。自国開催の東京大会をのぞき過去最多の選手数で挑む日本代表選手団の中には、連覇の期待がかかる選手も多い。

 その筆頭が、バドミントンの梶原大暉(だいき)。バドミントンが初めて採用された東京パラリンピックでは、レジェンドを破り、19歳で男子シングルス(車いす・WH2)金メダリストに。その後、無敗の121連勝を誇り、パリには絶対王者として臨む。

 昨年の秋、「連勝記録については考えないようにしている」と語っていた金メダル候補に慢心はない。相手の動きを見てショットを打ち分ける“頭を使ったプレー”を磨き、単複2冠を狙っている。

最年長記録の更新は?

 女子の注目は、同じく車いすの里見紗李奈(さりな)。こちらも初代女王に輝いた東京大会後、シングルス(WH1)で負けなしだったが、今年2月の世界選手権で連勝が途絶えた。粘り強さが強みの里見にとって、ライバルたちの存在が、女王死守への発奮材料になっているのは間違いない。山崎悠麻(ゆま)と組む女子ダブルス(WH1-WH2)とともに、中国勢に勝てるかが連覇の鍵になりそうだ。

 水泳の山口尚秀(知的障がい)も連覇がかかる。東京大会は100m平泳ぎで金メダルを獲得。

「力むことがあるので修正して世界記録を出したい」と平泳ぎの課題を語るが、体調不良だった昨年の世界選手権では前半は抑えて後半に力をためる落ち着いたレース展開で優勝しており、盤石の強さを見せてくれるか。

 2012年のロンドン大会以降、金メダルがないお家芸の柔道は、世界ランキング1位の瀬戸勇次郎に期待大。組んでから始まる視覚障害者柔道は、東京パラリンピックまで全盲も弱視も同じ条件で戦っていたが、規定が変わり、全盲のJ1と弱視のJ2に分かれてメダルを争うことになった。その影響で実施される階級が減り、東京パラリンピック66キロ級銅メダリストの瀬戸は73キロ級に変更を余儀なくされた。昨年8月の世界選手権で惨敗するなど苦しい時期が続いたが、12月にフィジカル強化が実を結び、直近の国際大会4大会中3大会で優勝。この勢いのまま、表彰台の一番高い場所に駆け上がるつもりだ。

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パラリンピックって、もっと熱狂する場所だよ!