AERA 2024年8月26日号より

校則は制度化された人種差別

 中でも、日本の校則はとても問題だと思っています。頭髪の色は黒と校則で定める学校も多く、これはミックスルーツに限らず、アルビノの方も同じ問題を抱えることになります。生まれ持った髪や肌の色が、ある場面では風紀を乱すからと、矯正すべきルールになっている。生まれ持ったものを完全に否定する、それを悪いものとするのは、まさに根本的な人種差別でもあります。こういった校則は制度化された人種差別と言い切っていいと思っています。不条理で差別的なものを是として受け入れることを学校で訓練することは、即刻やめてほしいなと思います。

 そもそも日本には国内人権機関がありません。国連から何度も指摘されていますが、差別を認定し、それを是正する道筋がつけにくい国であると言えると思います。だから学校でのいじめも認定されにくく、学校で起きている差別やいじめを見ようとしていない状況と言えるのではないでしょうか。

 ミックスルーツへの差別は、戦後から続いてきていることで、これを是正することは気の遠くなる話だと感じています。ただ、学校という場であれば、教育者が差別やマイクロアグレッションについて勉強し、避けるようにすることはできるはずです。例えば注意ワードを作り、周知徹底する。個人的には「日本語上手ですね」とか「日本に来てどのくらいですか」ということはむやみに聞くべきではないと思っていますし、「外人」という言葉は要注意です。

大人がどう行動するかが問われている

 また、私たちがいじめや差別の現場に居合わせることもあるでしょう。そのとき、先生や保護者をはじめ、大人がどう行動するかで、子どもたちの傷の深さも変わってくると思います。差別が起きたときに、第三者がどう対応するかの研修をしても良いのではないでしょうか。差別は命にかかわります。救命救急では、その場に居合わせた人の応急処置やAEDで助かる命があるように、私たちの行動で助けられることがあるはずです。

(構成 編集部・大川恵実)

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●日本における複数の民族・人種等のルーツがある人々のアンケート調査結果https://sites.google.com/view/surveyformixedinjapan

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