バレーボール男子 フィリップ・ブラン監督:準々決勝でイタリアに敗れた後、今大会で退任するブラン監督のもとに選手が駆け寄り抱擁。監督も目を真っ赤にしていた(写真:代表撮影/JMPA)

 バレーボールのブラン監督は、「データ」を武器とした。戦術の立案にあたって、日本代表には7人の分析担当がおり、日本の選手たち、そして相手を丸裸にする作業が日夜行われた。ブラン監督は言う。

「バレーボールにおいて身長は武器です。ただし、ネットを挟んでいるので決定的な要因とはなりません。相手の2メートルを超える選手は、横の動きには弱いかもしれない。それを明らかにし、選手たちに戦術をインストールすれば、日本は十分に戦えるのです」

 世界トップクラスの知恵が、石川祐希、セッターの関田誠大、リベロの山本智大を輝かせた。ブラン監督が明らかにしたのは、これまで日本には能力のある選手がいながらも、適切な分析、戦術の立案が不十分だったということだ。ブラン監督は今回で勇退するが、その戦い方は未来の航海図になるはずだ。

 そしてトムとフィリップに取材して感じたのは、ふたりとも「諦めの悪い人」ということ。負けを受け入れられないのだ。その諦めの悪さが、感動的な戦いの源泉だった気がしてならない。(スポーツジャーナリスト・生島淳)

AERA 2024年8月26日号より抜粋

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