(写真はイメージです/gettyimages)
この記事の写真をすべて見る

 8月の金融市場は株安や円高が一気に進むなど、歴史的な変動に見舞われた。今は落ち着きを取り戻しつつあるようにみえるが、1月の新NISA(少額投資非課税制度)のスタートで投資を始めた投資家のなかには、肝を冷やした人もいるだろう。ファイナンシャルプランナーの横田健一さんは「積み立て投資はとにかく淡々と続けることが大切」と訴える。

【通常非公開データ】新NISA開始3カ月調査「東証ETFで買われた意外なベスト20」S&P500、オルカンはベスト5入らず

*   *   *

乱高下する相場の背景

 日経平均株価は8月5日に4451円安と過去最大の下落幅を記録すると、翌6日には一転して3217円高と過去最大の上昇幅となった。

 外国為替市場も7月に1ドル=161円台をつけたドル円相場は円高・ドル安が進み、今は140円台後半で推移する。7月11日のドル高値から8月初めの安値までの値動きの幅は15円を超える。

 この相場の乱高下は、米国の景気後退に対する懸念が高まったことや、日本と米国の金融政策に対する姿勢の転換が意識されたことが大きい。株安と円高が同時に進むと、日本円で換算した海外資産の価値が株価以上に目減りするため、海外資産を持つ人にとってはダブルパンチとなる。

 新NISAで人気の投資信託「eMAXIS(イーマクシス)Slim全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)も、投資対象資産の約95%が外貨建て資産なので値下がりした。

個人投資家が気にかけるべきは

 しかし、横田さんは「個人投資家が資産形成にあたって短期的なマーケットの動向を気にする必要はありません」と強調する。

「金融市場は上昇と下落を繰り返すものです。でも、相場が変動しても実体経済は大きく変わりません。たとえば米検索サイト、グーグルの親会社アルファベット株が大きく値下がりしたからといって、検索サイトが使われなくなるようことはないでしょう。個人投資家が気にかけるべきなのは、マーケットの値動きよりも家計の収支状況やライフプランです」

 横田さんがこう話すのは、投資にはそもそも、普段の生活や「ライフイベント」で必要なお金以外の資金を充てるべきだと考えているためだ。

「この先使うことがわかっているお金を、元本割れのリスクがあるような金融商品に投資するのは避けるべきです」(横田さん)

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
次のページ
家計のお金は四つに分けて考える