8月7日に開幕した第106回全国高等学校野球選手権大会は19日に準々決勝4試合が行われ、残りは準決勝2試合と決勝の3試合のみとなった。
【写真】慶大不合格からケタ外れのエースになったプロ野球選手がこちら
今年の春のセンバツから反発性能を低くした新基準のバットが使用されるようになったが、今夏もその影響が顕著に表れている。3回戦が終わった時点で大会ホームラン数は6本と1974年に金属バットが導入されて以降、最少だった11本を下回るペース。さらに大会1号本塁打(東海大相模・柴田元気)は開幕から19試合目にやっと生まれ、木製バットを使用していた1960年の17試合目を更新して“最遅”となった。
新基準バットの採用で投高打低となった影響なのか、大阪桐蔭(大阪)、智弁和歌山(和歌山)、報徳学園(兵庫)、花咲徳栄(埼玉)などこれまで強打が売りだった強豪校が早々と敗れ去るという番狂わせも起こっている。
そんな中で躍進が目立つのが「左腕」を擁するチームだ。8月15日にベスト16が出揃った時点で、右投手だけで勝ち上がったのは5校のみ。それ以外の11校は先発、リリーフとして登板した投手のいずれかに左投手が存在している。大会を通して目立ったのも藤田琉生(東海大相模)、中村心大(早稲田実業)、中崎琉生(京都国際)、そして今大会大きな話題をさらった大社のエース馬庭優太と左腕が多い。
「元々、左投手を擁するチームは有利と言われる。これはアマでもプロでも変わらない野球のセオリーとも言える部分。その傾向が今まで以上に明確に表れている大会になっている」(NPB在京球団スカウト)
左投手が有利なのは、右投手よりも左投手の方が少なく、実際に打者が対戦することに慣れていないからと言われている。「テクノロジーの進歩で様々なデータが揃うようになり、打撃マシンも進化して左投手対策もできるようになった。しかし練習と実戦では異なる部分も出てくる」(甲子園出場校OB)という声もあるように、やはり左腕の攻略は右投手と比べると難しいという。