長期投資家・澤上篤人さん

 ポイントは「応援する」という姿勢です。10年、20年先でも「応援」できる企業であるかどうかを見極めてください。今は絶好調なテック企業の中には、10年先どころか5年先も見通せない企業があります。そんな企業は「応援」することができません。生活に必要な企業であると自分が信じ「応援」できるから、長期で地味な企業でも買えるのです。

「応援できるか」を基準にすれば、通常の株価の上昇・下落にも自然に対応できます。株価が思いのほか下がっていたら、「何だ、応援しなきゃいけないじゃないか」と自然体で買えばいい。人々の注目が集まって「にわか応援団」が増えて株価が上がってくれば、「じゃあ、いったん彼らに応援を任せよう」と売ってもいい。これを繰り返せば、結果的に安く買って高く売ることができます。

 間違っても、「儲けよう」などと思ってはいけません。そう思った途端に相場を追いかけることになり、どこかで「天井をつかむ」ことになってしまいます。

 株式投資で利益を表す「リターン」の意味を考えてください。「戻る」ですよね。「稼ぐ」とか「鞘を抜く」という意味はありません。そう、投資は「儲けよう」ではなく「儲かってしまう」という世界なのです。(構成 編集部・首藤由之)

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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