日経平均は8月5日、過去最大の下げ幅を記録した
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 株価の乱高下が続いている。8月5日、日経平均の下落幅は4451円に達し、過去最大を記録。翌日には、過去最大の上げ幅になるなど、先が見通せない状況となっている。このような相場をふまえ、長期投資家・澤上篤人さんは個人投資家に警告、「本物の投資」に切り替えることをアドバイスする。

【写真】只者ではない? 相場の浮き沈みを見てきた目が印象的だ

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 かねてから私は、半世紀にも及ぶ全世界の「カネ余りバブル相場」の終焉を言い続けてきました。今回の暴落は、その始まりにほかなりません。

 業績がすごくいい企業は数多くありますが、株価はそのすごさをはるかに上回って高騰していました。「儲けよう、儲けよう」で買い上げられてきた中身のない〝張りぼての株価〟ですから、そんなのが続くわけがありません。

 史上最大の下げ幅を記録してから不安定なもみあい相場が続いていますが、相場は一気に崩れることはありません。しばらく小康状態が続いた後、またドーンと大きく下げる、このパターンを繰り返しながら株価は奈落の底に沈んでいくでしょう。

 そうした大きな流れはもはや必然ですから、個人投資家はそんな相場からは一刻も早く離れるべきです。新NISAで、市場全体の値動きに合わせて動く投資信託(インデックスファンド)の積み立て投資を始めた人も例外ではありません。組み込まれている銘柄はまさに「玉石混交」で、「玉」の中には無理やり買い上げられた銘柄もいっぱい入っています。奈落の底に落ちてからの回復には相当な時間がかかります。

 私に言わせれば、投資はそんなに難しいものではありません。実体経済をベースに投資する企業を選んでいけば本物の投資ができます。実はやり方もきわめてシンプルです。

 まずは皆さんが生活していく上で必ず必要な企業、なくなっては困る企業を考えてください。たくさんの企業が頭に浮かぶと思いますが、それらを丁寧に見ると株価がそんな上がっていない企業があるはずです。それを買えばいいんです。

 無理やり買い上げられていないので、市場全体が大暴落してもそんなに値下がりすることはありません。そして生活に必要で、なくなったら困る企業なのですから、存在は地味でもいつか人々の注目を浴びて、株価が大きく買われる日がやってきます。長期投資家は気長にその日を待てばいいのです。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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