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日経平均の乱高下 

ブラックマンデーという言葉が、久々にメディアから聞こえてきました。8月5日の日経平均株価が歴史的な暴落により、過去の株価暴落との比較のために使われました。その値下がり幅だけでなく、その後の値下がり率も歴史的なものとなりました。このコラムを執筆している8月9日現在は、日経平均は3万5千円を回復しており、少しづつ日常を取り戻しつつあります。

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しかし、この下落がただの一時的なものなのか、それとも金融・社会システムに関わる何かの予兆なのかはわからないだけに、日経平均の値動きは通常時より激しいものとなっています。更には、8月8日に南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表されたことで、機関投資家からも日本経済への影響を懸念する声が出ています。今回は、備えあれば憂いなしと、資産運用における、もしもの金融危機や地政学・災害リスクなどに対してどう向き合うべきかについて再考します。

長期&分散が基本というけれど・・・

 日経平均が乱高下する中で、投資は長期・分散投資が基本ですよ!慌てないで!という声が、至る所から聞こえてきました。私は、こうしたコメントを聞くたびに、いつも心の中がモヤっとするのです。その理由は以下の通りです。

 まず、分散投資とは、日経平均のような株価指数に連動するファンドに投資をすることで、株式投資における「銘柄分散=特定の個別株に一極集中で投資をするのではない投資」をする分散投資や、株式・債券・コモディティ・不動産・外貨……など異なる資産に投資をする「資産分散」があります。

 特に重要なのは、ファイナンス理論的には資産分散です。何のために分散投資をするかといえば、景気・社会情勢・災害・地政学の異変に対して異なる動きをする資産に分散することで、突発的な異変に対して目減りしにくい資産運用をするためです。そうすると、仮に株式しか保有していないならば、そこで銘柄分散をしていても、景気悪化や地政学リスクに対して株式特有の脆弱さによってもたらされるリスクは分散できません。

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崔 真淑

崔 真淑

エコノミスト。2008年に神戸大学経済学部(計量経済学専攻)を卒業。16年に一橋大学大学院にてMBA in Financeを取得。18年より同大学の博士後期課程に在籍。研究分野はコーポレートファイナンス。新卒後に、「経済のスペシャリストの世界に触れたい」と、大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)に入社。アナリストとして資本市場分析に携わる。当時最年少の女性アナリストとして、NHKなどの主要メディアで経済解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験したのち、日本の経済リテラシー向上に貢献したいとの思いから2012年に独立。経済学を軸に、経済ニュース解説、経済・資本市場分析を得意とするエコノミスト・コンサルタントとして活動。

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長期投資と聞くとモヤっとする