AERA 2023年8月28日号より

 いざという時、行動に移すために欠かせないのが防災教育だ。例えば、子どもだけで家にいる時に火災が起きた時は「火事だ!」と大声で周りの大人に助けを求めて体を低くし煙のない方に逃げる、学校の避難訓練ではけがをした友だちがいないか声を掛け合いながら避難する。こうした知識や技術を、防災訓練などを通して子どもの時から教えることで、大人になっても災害時に行動に移すことができるようになる、という。

「家庭でも、家具の固定や食料の備えなど親子で一緒に考え実行することが大切です。こうして、自分の命だけでなく、互いの命も守る防災力を身につけることができます」(重川さん)

 未来は見通せない。だが、命を守り、被害を最小限に抑える準備はできる。節目の年に、首都が直面する課題を社会全体で共有し、「穴」があれば見直す必要がある。(編集部・野村昌二)

AERA 2023年8月28日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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