お盆の帰省ラッシュでJR博多駅の新幹線ホームは混雑した=2023年8月11日

 妻の実家が四国、自身の実家は東北地方という40代の男性は、これまでの年末年始とお盆は交互にそれぞれの実家に帰省していたが、最近は腰が重くなっている。

「どちらも遠いから、お金も時間もかかる。しかも夏は暑い。実家暮らしの弟はゲーム課金ばっかりしてて、そんなの自分の子どもに見せられないし。親に顔を見せに行くだけと割り切っているけど、そろそろ夏は帰りたくない」
 

「実家に帰省すると、夫が“息子”に変身する姿を見るのもちょっとね……」

 と話すのは30代の女性。

 実家に帰った夫は、日中はリビングから動かず、なんでも義母任せに。晩御飯の際、魚の骨まで取ってもらっていたのを見て、女性は衝撃を受けたという。今年は夫だけを帰省させるつもりだ。

結婚した当初から、帰省をしたことがない」と話す40代の女性も。義母が、自宅に人を迎えるのを嫌がっているのだという。

「掃除したり、お茶やお菓子を用意するんだったら、どこかで美味しいもの食べようとなっているので、もともと帰省スルーです。今年はホテルのプールサイドでお茶します」
 

進む帰省の「セパレート化」

 帰省のスタイルもさまざまだが、世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは「もはや家族全員で帰省するスタイルが“当たり前”ではなくなっています」と、「セパレート帰省」が進んでいることを指摘する。

 牛窪さんが言う「セパレート帰省」は、このような感じだ。

「たとえば、旦那さんの実家には旦那さんだけ、もしくは子どもだけ連れて『父子帰省』し、奥さんはその間、自分の実家に帰省、あるいは仕事や女友達と旅行を楽しんだりする。

 時間差で帰省されている方もいますね。休みの前半は奥さんが自分の実家に子どもを連れて実家に帰り、後半は旦那さんの実家に『父子帰省』してもらうなど。

 特に今の30~40代は共働き夫婦も多く、セパレート帰省が進んだ印象です」

「セパレート帰省」が進む理由について、牛窪さんは「親御さんも、必ずしも夏休みの帰省を期待しなくなったから」と分析する。

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