AERA 2024年7月15日号より

「S&P500や全世界株式投資信託は、よい選択肢です。ただ、もっとリスクを抑えた選択肢も求められています」

 超初心者にとって、株式100%の投資信託はハードルが高い。比較的安全な債券も組み合わせて運用するバランス型の投資信託に目を向ける。

「バランス型の投資信託の中でも、四つの資産を25%ずつ均等に組み合わせたタイプは、NISAで低リスク運用をしたい人にぴったりです」

 四つの資産とは、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式のこと。全体の2分の1を海外の債券と株式へ投資することが怖い読者もいるだろうか。

円安で得・円高で損

「海外への投資では為替相場の変動からも影響を受けます。24年5月にeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は前月より524円値上がりしました。このうち481円は株価上昇、41円は為替が円安に動いたことによるものです。4月は373円の値上がりでしたが、株価下落分でマイナス385円、円安要因でプラス757円。円安に助けられ利益が増えることもあれば、円高で目減りすることもあります」

 4資産均等のバランス型の場合、半分は国内株式と国内債券で、為替変動の影響を受けない。値動きも株式100%の投資信託に比べてマイルドだ。

「実は、厚生年金や国民年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の四つの資産へほぼ均等に投資しています。初心者にとって単純明快であることは大事。株式と債券を半分ずつ、そして国内と海外へ半分ずつ資金を振り分けているとすんなり頭で理解できれば、安心感・納得感につながります」

 4資産を「均等に」買う投資信託で、新NISAの「つみたて投資枠」対応のものは4本のみ。ただ、現実のNISAでバランス型といえば、八つの資産に均等に投資するタイプのほうが人気だ。

「8資産均等型は新興国の債券と株式、国内外のREIT(不動産投資信託)も組み入れられており、4資産に比べて値動きが激しくなりがち。安定運用のためリスクを分散しましょうとよく言われますが、8資産均等型は4資産均等型よりも、リスクが上がってしまいます」

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