――今回の報告書について、どのように感じるか
県警の組織全体にも本部長にも厳しい内容になっていると思う。そのなかで、警察庁が本部長就任予定者に対する研修を大きく見直したことに着目している。われわれのころより、警察庁に採用された警察官が都道府県警で勤務する機会が大きく減ってきており、そのことで現場に対する理解が不十分であったり、現場幹部とのコミュニケーションの取り方がうまく取れなくなっていたりするのではないか。それに対する警察庁の危機感の表れではないかと思われる。
隠ぺい指示はリスクが高すぎる
――生安部長は警察署員による盗撮事件について「泳がせよう」などと不祥事の隠ぺいを本部長に指示されたという趣旨の訴えをしている
不祥事の隠ぺい指示はあまりにリスクが高い。バレたらクビ。本部長がこの種事案でクビをかけて犯罪を隠ぺいするものかどうか、私には到底、理解できない。もし仮に本部長がそう言ったとして、では指示された生安部長はそれに対して何と言ったのだろうか。捜査を尽くすべきだと主張したのだろうか、黙っていたのだろうか。彼がどのように部長としての責任を果たそうとしたのか、そこが見えない。
――他方、報告書は、生安部長は首席監察官と同様に、本部長を補佐すべき立場にあったものの、本部長に報告や指揮伺いをした事実は認められなかったとしている
警察官による不祥事の事件捜査に主管部門の部長、本件の場合は生安部長が携わっていないということは普通は考えられない。本部長と生安部長との間に何があったのだろうか。
――鹿児島を含めて全国のほとんどの本部長は警察庁からの出向。赴任した本部長が不祥事をきらう気持ちは理解できる
不祥事について言えば、起きないことに越したことはないが、本部長の能力が試されるのは事後処理のあり方で、そこで真価を問われる。不祥事が起きることによるダメージという点では、むしろ地元警察の幹部の方が神経をとがらせる傾向があるように思う。