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 相続を考えるうえで、「分け方」は欠かせない要素の一つ。遺言書を作成する際には、親任せにせず、子どもがサポートしておきたい。賢い備え方を紹介しよう。AERA 2024年8月5日号より。

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 不動産や金融資産で相続対策が取れたら、あとは「分け方」だ。財産の持ち主である親の遺志として、その考えを遺言書にしておいてもらおう。

「遺言書は今や必須、どなたでも作っておかないといけない時代になりました」

 こう話すのは「夢相続」代表で相続実務士の曽根恵子さんだ。

「今後は相続した不動産は3年以内の登記が必要です。自宅以外に分けるものがなく揉めるケースも増えています。余計な争いを誘発させないためにも遺言書が必要になっています」

 法的に有効な遺言書は相続手続きで“威力”を発揮する。相続人全員が合意すれば遺言書にとらわれない遺産相続もできるが、そうでない場合は遺言書どおりに進められていく。遺言書があれば、不動産の名義変更の登記や銀行口座の凍結解除もスムーズに進む。

親の「遺志」を形にする

 遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類がある。

 自筆証書遺言は、本人自筆や作成年月日の記載が必要などの条件がある。自宅でも書けて誰にも言わずに秘密にできるが、間違いやすいというデメリットもある。もし不備があると法律上、無効になってしまう。

 2020年、法務局で自筆証書遺言を保管する制度ができ、形式・要件を確認してくれるようになったが、中身については確認してくれない。このため多少の費用はかかるものの、専門家の多くは公証役場でつくる公正証書遺言を薦めている。

 曽根さんは、遺言書はある程度、子供が親をサポートしながら作っていくのがいいとする。

「もちろん親の気持ちを聞くのが最初なのですが、親の独断になると現実的ではないこともあります。親子で話し合い、最終的には親の意思による内容にしたほうがいいと思います」

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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