フィンランド戦で活躍した河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)。土壇場で3Pが抜群の冴えを見せた(YUTAKA/アフロスポーツ)
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パリ五輪でバスケットボール男子日本代表は30日、フランスと対戦して3点差で敗れた。完全アウェーの中で強豪国を相手に熱戦を繰り広げ、歴史に残る勝負となった。中でも、目を見張ったのが河村勇樹の活躍だ。五輪前に配信した記事から河村のセンスの源泉を辿る(この記事は、2023年9月6日に配信した記事の再掲です。年齢、肩書等は当時のまま)

【写真】引退後も存在感抜群のレジェンドといえば

 今大会でパリ五輪の出場権を逃せば代表引退を公言していたエースの渡辺雄太。その覚悟に応えるような活躍を見せたのが河村勇輝だ。AERA2023年9月11日号より。

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 22歳の若きポイントガードはフィンランド戦で、3Pシュート4本を含む25得点、9アシストをマーク。最大18点差をひっくり返す逆転劇を呼び込んだ。

「まだまだ代表引退なんてさせませんよ」

 試合後、渡辺にそう声をかけた。

 その河村をミニバスケット時代に教えた森本敏史さんは「あの子はね、いいほうに裏切ってくれるんですよ」と声を弾ませた。

「あそこにパスしてほしいなって思ったとき、その通りにできる子はいいガードですよね。でも彼は、おまえ、そこに投げるのか!?っていう驚きを僕ら指導者にもたらすわけです」

 フィンランド戦で、まさしく想定を上回る活躍を見せてくれた。小学生時代にすでに会得していた高い空間認知力とパスセンスは「NBAマニアだったお父さんのおかげでしょう」。そう話す森本さんによると、マジック・ジョンソンやマイケル・ジョーダンの大ファンだった父親が集めたビデオを、河村は就寝前に観ていたそうだ。

「あの子のノールックパスは、マジック・ジョンソンのプレーを真似てるうちに自分のものにしたんでしょうね」

 続けて森本さんは、渡辺の恩師である香川県私立尽誠学園高校バスケットボール部の色摩(しかま)拓也監督が渡辺を「地道に努力できることが最大の武器」と表したように、「努力」という言葉で教え子を形容した。

「毎日シュート600本インさせたという話が話題になってますが、小学生のころからやってました。1千本入れてきたと聞いたこともあります。あの子の一番の才能は努力ですよ」

 努力で培った凄技は、175センチの身長ながらNBAオールスターなどにも選ばれたポイントガード、アイザイア・トーマスのハートまで射抜いたようだ。SNSでフィンランド戦のハイライト投稿を引用して「He was killing!!(彼は最高だった)」とコメントを寄せたのだ。

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