4年生秋の試合で前半に20点負けていた。ハーフタイムに監督の発言を抑えて、先発の5人に主将として不甲斐なさを叱る。その後で出場して、あっさり逆転した(写真/狩野喜彦)
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 日本を代表する企業や組織のトップで活躍する人たちが歩んできた道のり、ビジネスパーソンとしての「源流」を探ります。前回に引き続きJ.フロントリテイリング・山本良一顧問が登場し、「源流」である大阪府高槻市のかつてJFRの研修所があった場所などを訪れた。

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 2017年4月、東京・銀座6丁目の松坂屋銀座店の跡地に「GINZA SIX」を開業した。豪華、贅沢、快適の意味を持つ英語の「Luxury」とショッピングセンターの「Mall」を使って「ラグジュアリーモール」と呼び、華やかな店舗空間に仕上げる。

「これは百貨店ではない」と言い切り、売り場は区画割りし、すべてをブランド力が高い店へ貸す。長く小売業界を支え、縛りもしてきた自前主義を捨て、「非連続」の世界へ踏み出す。

 吹き抜けに著名作家のオブジェをつるし、随所に芸術作品を埋め込んだ「アートの空間」にもした。訪れた人の多くは、確かに、「百貨店とは別物」との感想を抱くだろう。

 松坂屋銀座店は、1924年暮れに銀座で初めてできた百貨店。老舗らしさでファンを得てきたが、消費者の選択が多様化し、人口減が始まった時代に、変革は不可欠だ。2007年9月、営業改革を担ってきた大丸が松坂屋と経営統合し、持ち株会社のJ.フロントリテイリング(JFR)が誕生。百貨店部門の大丸松坂屋の社長に就く。

 以来、銀座店をどんなものにするか、考え抜く。銀座は、日本の都市でも別格だ。地価の図抜けた高さからすれば、オフィスビルにすれば収益はいいが、小売業の新しい姿を残したい。

 国際的な高級ブランドの運営会社、世界の動向にアンテナを持つ総合商社、街の開発ノウハウを持つデベロッパーの首脳とともに委員会をつくり、意見を交わした。そこで明言したのが「もう百貨店はやめる」で、出した答えが「ラグジュアリーモール」。旧来の百貨店からの大胆な跳躍、だった。

 構想を生んだ元が、大丸時代に社長から受けた「最大の顧客満足を、最少のコストで実現しろ」との指令に伴う、営業改革による人の配置の刷新だ。さらに遡れば、明治大学時代に体育会バスケットボール部で主将を務め、大学日本一を3連覇したときのチームづくりがある。

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