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 株式市場では、日経平均株価が調整色を強めている。新NISA(少額投資非課税制度)をきっかけに投資を始めた投資家のなかには不安に感じる人もいるだろう。個別株を持つ場合、株価の上昇や下落にどう備えればいいか。ファイナンシャルプランナー(FP)の横山利香さんに聞いた。

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 日経平均株価は7月26日まで8日連続で下落した。11日に史上最高値を更新した後にずるずると値下がりし、29日の午前終値は3万8400円台で推移する。

 米国の主要ハイテク株の下落が響いたほか、外国為替市場で円高・ドル安が進んだことも一因だ。これまで続いてきた円安・ドル高基調が一服し、円高で輸出関連企業などが売られている。日米の金融政策の潮目が変わり、両国の金利差が縮小に向かうとの見方が強くなっている。

新NISAのメリットとデメリット

 株価が下がるとやはり不安になる。新NISAを利用しているならなおさらだ。横山さんは言う。

「新NISAの最大のメリットは、株式の値上がり益や配当に税金がかからないことです。一方で、売却して損失が生じた場合はそのまま損になる点がデメリット。新NISAの場合は、ほかの株で得られた利益と相殺できないうえに、利益と相殺できなかったその年の損失を翌年以降に持ち越すことができません」

 NISA口座で買った株式で損が出ると、通常の証券口座などでは可能な、ほかの株式で得られた利益との相殺(損益通算)ができない。損失と利益を相殺して、株式投資などで得られたもうけを減らす節税効果が期待できないということだ。

 また、通常の証券口座などでは、その年の利益から相殺しきれなかった分は翌年以降、最長で3年間まで繰り越して以降の利益と相殺することも認められている(繰り越し控除)。だが、NISA口座ではこの繰り越し控除もできない。

 そのため、横山さんは「損失が出た場合は早めに損切りすることが重要」と強調する。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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