「特に思い入れがあったわけでもなく、なんとなく手放すきっかけがなかっただけでしたね」
さおりさんは、小さな頃からモノを手放すことをあまりしていませんでした。だからどんどんモノが多くなって管理しきれなくなっていたのです。
家の中がスッキリしてくると、夫や子どもに変化が見えてきました。
夫はきれい好きですが、散らかっていることに対してうるさく言う方ではありませんでした。さおりさんもフルタイムの仕事と子育てに忙しいから、しょうがないとあきらめていたのかもしれません。
「あまり人をほめるタイプではない夫が、家の中のモノが減ってきたときに『結果が出てきているね』って言ってくれたんです!」
夫の趣味のモノを飾る棚の移動も、いつもなら面倒くさがるところをすぐに動いてくれました。さおりさんが本気で片づけに取り組んでいる様子を見て、うれしく感じていたのでしょう。
子どもも一緒に片づけをするようになり、使わなくなったおもちゃなどの不要物を自分で出してくれるようになりました。
さおりさんが大変だったと感じたのは、モノの定位置を決めるとき。使う人が取り出しやすく、戻しやすいことが鉄則なのはもちろんなのですが、使う人の動線上にあると効率的できれいな状態をキープできるようになります。
先にモノの定位置を決めてから生活をスタートすると、使うたびにそのモノの場所まで行く必要があります。例えば、朝起きてから出勤するまでにハンカチやティッシュなどをあちこち動き回ってそろえていると、時間のムダになってしまいます。
「今まで適当にモノの場所を決めて、それが当たり前になっていたので動き方がムダだということにも気づきませんでした。モノに動かされていましたね」
さおりさんはまず、家族で毎日の過ごし方や部屋の使い方を話し合いました。