開会式の演出で踊るパフォーマー=2024年7月26日、パリ・セーヌ川、

「ダンサーたちは時々ためらいがちな動きをしたり、演技中に少し滑ったりしていた。楽器からは雨水が跳ね上がった」(CNN)

 観覧席の観客たちは降り注ぐ雨に耐え忍んでいるように見えた。米The New York Times紙によると、多くの観客は500ユーロ(約8万3500円)以上支払って観覧席のチケットを手に入れたものの、4時間ちかく続いたショーを最後まで見ずに席を立ったという。

「もうたくさんです。この雨には耐えられません」(インドからの観覧者)

 開催式の内容について問題点を指摘するメディアもあった。

 豪のニュースサイトnews.com.auは「2032年にブリスベン大会を開催する豪にとって、今回の開会式は大きな教訓になる」とし、「アメリカのポップスター(レディー・ガガ)を起用して開会式を盛り上げるのは明らかに安易で、『失格』にすべきやり方」と伝えた。大ヒットアニメ映画のキャラクター「ミニオン」を使った出演も安易に映ったようだ。

 news.com.auは、SNSの声も紹介した。

「残念だが、これは私が知るかぎり最悪の五輪開会式だ。選手を船で入場させるのは面白いアイデアだが、見た目があまりよくないし、観客の歓声が聞こえない」

「マスクをした男がトーチを持って走り回るシーンが映し出されたり、太陽の下で撮影された事前収録映像がひどい雨のなかで生中継に切り替わるのは、かなりうんざりする」

気球の形をした聖火台に聖火を点灯するリネールさんとペレクさん=2024年7月26日、パリ

「超キッチュなスペクタクル」

 多くのメディアは、開会式の演出を絶賛した。特に、闘病から復帰した歌手、セリーヌ・ディオンさんがエッフェル塔で「愛の賛歌」を歌い、開会式を盛り上げたことを高く評価した。

 だが、世界から注目を集める五輪の開会式だけに、さまざまな見方がある。

 英The Guardian紙は「超キッチュ(低俗)なスペクタクル」と報じた。その雰囲気はレディー・ガガが仏の1960年代のキャバレーふうに演じたのに始まり、大きな料理の器の中から古代ギリシャ神に扮した青いボディーペイントの男が現れたときに最高潮に達した、と。

 日本では、フランス革命で斬首された王妃マリー・アントワネットを思わせるドレス姿の女性が「生首」を手にして歌う演出がと話題となった。SNSには「おしゃれ」「かっこういい」とする声も相次いだ。

 英BBCテレビは開会式について「ユニーク」、米TIME誌は「奇妙で素晴らしい」という見出しで報じた。

 開会式の終盤、マクロン大統領が五輪開幕を宣言した際に、五輪の旗を逆さまに掲揚してしまったのは、確かに失態だったかもしれない。英THE INDEPENDENT紙は「セーヌ川の壮大な式典は、恥ずかしい瞬間で終わった」と、伝えた。

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