開会式であいさつするパリ五輪組織委のエスタンゲ会長(右)。左はIOCのバッハ会長=2024年7月26日

「戦いを挑む」姿を見事に表現

 記者が開会式の中継を見て「もったいない」と感じたのは、オリンピックの主役である各国選手の公式ユニホームが、薄暗い照明や雨に邪魔され、よく見えなかったことだ。これまでの五輪の入場行進では細部が映し出され、話題になっていただけに残念だった。

 船上の姿を見るだけでも印象深かったのが、モンゴル選手団のユニホームだ。これから戦いを挑む選手たちの姿と見事にマッチしていると感じた。CNNによると、ウランバートルを拠点とするブランド「ミシェル&アマゾンカ」の作品で、「モンゴルの伝統と文化の真髄を表現」したものだという。

モンゴルのユニフォーム Michel&Amazonkaのインスタグラムから

 ハイチの選手たちが身に着けている明るい色のスカートとパンツも目を引いた。米ニュースサイトYahooによると、このユニホームは、政情不安による混乱を乗り越え、再生しようとしているハイチの象徴だという。

 五輪のユニホームに見えないのが台湾の選手が身に着けているデニムのような生地のスーツだ。

「環境に優しい素材と文化遺産を表現。伸縮性のある質感のある素材は台湾の海、都市、山を表している」(豪The Conversation誌)

 開催国、仏のユニホームは光沢のあるミッドナイトブルーで優雅さを感じる。同国の有名高級ブランド、ベルルッティが制作を担当したものだ。

 パリ五輪には約200の国と地域などから、1万1000人あまりの選手が参加する。ユニホームにはその国の物語が感じられる。見て楽しいし、興味深くもある。

オリンピックの主役である各国選手が自国のユニホームに身を包んだ姿は、やはり開会式の醍醐味なのだと実感した。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)