――渡辺さんは、長谷川さんの年齢を考慮し、ツッコミの強さや回数などを調節したりはしますか。

渡辺:いや、まったくしていません。現場のノリでそういうのは変わってきますし、雅紀さんの言動に対しての反応ですから、年齢とかは関係ないと思っています。それに、あまりそこを意識しすぎても、僕はうまく対応できませんし。昨年、発売されたM-1のDVD特典映像の中に「年齢の数だけツッコむ」という企画があったんですけど、雅紀さんは51歳だから51発でいいのに、結果的に僕は150発以上もツッコんでしまっていました(笑)。

長谷川:ツッコミが強すぎたときは、ちょっと……って思う瞬間も多々あるんですけど、まあ、僕がいくら言っても聞かないから仕方ない。でも、150発って(笑)、あんなに頭たたいたら、もっとバカになっちゃうよ! 

――昨年でコンビ結成10周年。渡辺さんが感じる長谷川さんの魅力とは何でしょうか。

渡辺:もう生きているだけで面白いってところです。こんなバカな人は他にいませんから。ほんとにお笑い芸人が天職ですよ。雅紀さんは、もし、他の職業についていたら、絶対怒られる人だと思います。

長谷川:それは僕も思います。以前働いていたバイト先でも問題児扱いされることはよくありました。休憩にいったら、ずっとそのまま寝てしまって全然起きなかったりとかもよくあったので。同僚からは「あの人と一緒にシフトに入るのは嫌だ」とも言われていました。ほんと芸人という仕事があってよかったと心から思います。もし、他の仕事をしていたら、年下の上司に、ずっと怒られていたでしょうね。というか年下にかぎらず、ずっと誰かに怒られ続ける人生だったかもしれません。「コンビを組もう」と誘ってくれた隆には感謝です。

●2022年は多忙すぎて「記憶がない」

――M-1優勝によりブレークした「2022年」は、率直にどんな1年でしたか。

渡辺:正直にいうと、「ブレークした」とか「売れた」とかっていう実感はほとんどないんです。あまりの人生の変化に理解ができていないっていう気持ちのほうがまだ全然強い。現実感がないというか、まだ夢の中にいるような感覚。M-1で優勝してもう1年半が経過するのに、ほんとうに優勝したのか?って、いまだに思いますから。

長谷川:それは僕も同じ。2022年はとくに忙しかったので、何かを考えたりする暇もなかったし、休みもないし、とにかく現場に行って、仕事をして帰ってきての繰り返しでした。僕らがまだ20代、30代であれば、もっと違ったのかもしれませんが、完全にオーバーワークな瞬間もあったので、そういうのを実感する余裕もなかったかもしれません。2020年にM-1で優勝したマヂカルラブリーの野田クリスタルには「今後のM-1チャンピオンのためにも2人は一度倒れたほうがいい」と言われました。誰かが倒れることで今後のM-1チャンピオンの「働き方改革」になるだろうと(笑)。とにかくそのぐらい忙しかった。あっという間の1年でした。

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