1984年~1993年、1994年~2003年の各10年間×5パターンの試算。左が全世界株式、右がS&P500。1984年からの10年間は一括投資が一番よく、1994年からの10年間は「3カ月ごとに20万円×5回」のほうがよかった

「結果を見ると一括投資の成績が全般的によくなりました。ただ、『一括100万円』と『3カ月ごとに20万円×5回』にはそれほど差がなく、後者のほうが増えた時期もあります。

 精神面も考えて『3カ月ごとに20万円×5回』もいいですね。

 今回は試算していませんが、一部のネット証券で可能な『毎日つみたて』もいいかな、と。『1万円×100営業日』などで毎日買えば、『今は高い? 安い?』の心配とは無縁です」

2004年~2013年、2014年~2023年の各10年間×5パターンの試算。左が全世界株式、右がS&P500。2004年からの10年間は一括投資が一番よく、2014年からの10年間は「3カ月ごとに20万円×5回」のほうがよかった。こうして見ると直近10年の上昇度合いがすさまじい

積立でもリスクは下がらず

 ところで「つみたて投資はリスクを下げる手法で万能!」とよくいわれるが、リスクは下がらない。

「つみたて投資でも、株価が下落すれば損失が発生することに変わりありません。ある程度、資産が積み上がったら一括投資と同様に痛手を被ります。『つみたて投資は運用開始当初の高値つかみを防げる程度』くらいに考えたほうがいいでしょう。一括投資をする人にとって、そのお金を10年以内に取り崩す可能性があるか、ないかも大切な要素です。過去の実績から、どんな暴落でも6〜8年で株価は戻ると思われ、その10年後にはさらに上昇している可能性も高い。下落時に、戻りとその後の上昇を待てない資金については一括投資に回さないでください」

取材・文/安住拓哉、中島晶子(AERA編集部)

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編集/綾小路麗香、伊藤忍

『AERA Money 2024春夏号』から抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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