SBI証券デジタル企画部長 兼デジタル営業部部長の小川正美さん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)
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 7月もまもなく終わりますね。最近「AERA dot.」で掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は6月13日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【図版2つ】40年検証・一括投資VSつみたて投資の結果はこちら!

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 新NISA2000人アンケート(*)では「お金が100万円くらいあったら、つみたて投資? それとも一括投資?」という疑問も多かった。どちらが正解?

(本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」から抜粋しています)

 つみたて投資か、一括投資か。

 SBI証券の小川正美さんの見解は、「全世界株式やS&P500といったインデックス型投資信託への長期投資は、理論的には、なるべく早く大きな資金を一括投資したほうが合理的といわれます」。

 ただ、最近の株価は日米ともに史上最高値圏。「今が天井だったらどうしよう」と怖くなる。

「その気持ちもわかります。実際、2008年のリーマン・ショック時は、直前に一括投資した場合より5年間にわたってつみたて投資したほうが暴落時の安値でたくさん買うことができた分、その後の上昇率はよくなりました。

 一括投資をしてすぐに暴落し、『やっぱり投資はギャンブル。もう、や〜めた』となるのが一番よくない。そうなりそうな性格の方は、つみたて投資にしておきましょう」

つみたてと一括併用

 つみたてで定額投資をすると、安いときにたくさん買える。高いときには少ししか買えないことになる。ただ、右肩上がりの相場なら機会損失(もっと早く一括で投資しておけば値上がり幅は大きかった)となる。

 小川さんは「迷うなら、つみたてを続けながら、その間に全世界株式やS&P500の投資信託の基準価額が5〜10%下がったら、まとまった資金を一括投資する『併用型』もあり」だという。

「2020年1月から2024年2月まで『SBI・V・S&P500』に5万円ずつ毎月末につみたて投資をした場合、約4年で資産は1.66倍に増えていた計算です。

 一方、同じ投資信託が前月比5%下落したときに10万円を追加投資した場合は1.72倍(追加投資は計4回)。

『つみたて+下落時に少し一括投資』ということにすれば気持ち的にもラクで、機会損失もある程度防げるかもしれません」

40年で検証すると

 ニッセイ基礎研究所の前山裕亮さんに、過去のデータを使った100万円のシミュレーションをお願いした。

 全世界株式とS&P500に「毎月1万円×100カ月」「毎月2万5000円×40カ月」「毎月5万円×20カ月」「3カ月ごとに20万円×5回(1年3カ月)」「一括100万円」の5パターン。

 トータル40年分の検証だが、それぞれのパターンは「期間10年」だ。さて、どれくらい運用成績に差がついたか?

ニッセイ基礎研究所 金融研究部 主任研究員の前山裕亮〈ゆうすけ〉さん(撮影/小山幸佑)
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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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