ボディーと協調して強力に手ブレ補正する超望遠レンズ
オリンパスは本気で超望遠レンズから三脚を解放することを目指したのだろう。35mm判換算で600mm相当になる画角となれば手持ち撮影は無茶だろうと当初は考えていたが、この300mmレンズを使った結果は、よいほうに完全に予想が覆された。
特に手ブレ補正の利きは長焦点レンズでこれほど見事な補正効果を実感したことはなく、また300mmの焦点距離でこれだけの高画質のレンズには出合ったことはないと断言できる。
ボディー内手ブレ補正を基本としていたオリンパスが、本レンズではついにレンズ内手ブレ補正の採用に踏み切っている。レンズ単体では4段の補正段数だが、オリンパスのマイクロフォーサーズ機を組み合わせる(一部の機種では制限あり)と、カメラのボディー内手ブレ補正とレンズ内の手ブレ補正が協調する方式を採用している。レンズ内ではヨーとピッチ、ボディー内では、ヨーとピッチに加えて、ロールとシフト(XY軸)を補正する。このときの補正段数は6段にもなる。ボディー内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正のシンクロはすでにパナソニックのLUMIX GX8で実現しているが、今回は超望遠レンズであり最強といってもよく、実用面でも明らかに効果のある優れた方式である。
光学性能にも相当に気合が入っていて、「オリンパス史上最高」の解像力と同社はうたっている。単純に数値上の性能によるものだろうが、あながち大げさではないと思わせてしまうすごさがある。
コーティングは新しく「Z coating Nano」を採用、ゴーストとフレアの低減をめざしている。また最短撮影距離が1.4mであることにも注目したい。これにより35mm判換算で0.48倍相当の超望遠マクロ撮影を可能にしている。
開発発表時に公開されたモックアップにはあえてISスイッチをつけなかったことをみても、時間をかけ秘密裏に用意されたものだ。マイクロフォーサーズの特性を最大限に生かした超望遠レンズの誕生といえる。
デザイン
黒くて精悍なスタイル。マニュアルフォーカスクラッチ機構もあり、MF時のフィーリングもISスイッチも上質だ。フードは脱着可能かつスライド式で操作が容易。防塵・防滴仕様だ。着脱式の三脚座と三脚座未使用時につけられるデコレーションリングが同梱される
使用感・操作感
35mm判換算で600mm相当と考えれば驚異の小型・軽量レンズともいえる。OM-D E-M5 MarkIIと組み合わせて使用したが、バランスは悪くない。AFスピードも不満なく使いやすい
描写性
オリンパス史上最高の解像力と、超望遠レンズで公式にアナウンスするのだから、相当な自信だ。たしかに焦点域ではありえないほどの高画質に驚きである
◆ 赤城耕一
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●焦点距離・F値:300mm・F4.0●レンズ構成:10群17枚(スーパーEDガラス3枚、E-HRガラス1枚、HRガラス3枚)●最短撮影距離:1.4m●最大撮影倍率(35mm判換算):0.24倍(0.48倍相当)●画角:4.1°●フィルター径:Φ77mm●大きさ・重さ:Φ92.5×227mm(フード収納時)、Φ92.5×280mm(フード使用時)・1270g(三脚座除く)、1475g(三脚座含む)●価格:39万9600円