天皇、皇后両陛下の訪問で日本に関心
ここに、天皇、皇后両陛下が視察に来られた。その直前には、バッキンガム宮殿でチャールズ国王夫妻とにこやかにお別れのあいさつを交わしたばかり。ロンドン中にあたたかい空気が広がる中、今度は子どもたちの前に登場したとあって、館内は歓迎ムード一色となった。
天皇、皇后両陛下は、ブロックで遊ぶ日本人学校の児童の手元をのぞきこみ、「よくできています」と声をかけられた。一人の男の子の「カーペットは土足禁止です」との言葉に思わず笑顔を見せる場面も。折り紙ワークショップでは、イギリスの小学3年生の児童に話しかけた。「難しいですか」と尋ねると「大丈夫です」との答え。お二人は頼もしそうにうなずいた。その後、「となりのトトロ」のパフォーマンスを日英の子どもたちと鑑賞された。
そんな両陛下の様子は、周囲の大人たちの心もつかんだ。ある同館ボランティアの男性は、折り紙に関心を持ち、以来、テキストを見ながら折り紙と向き合っているという。「簡単そう」と始めたが、意外と難しいと笑う。「手と目を使うので、集中力が必要。子どもたちだけではなく高齢者にも良いと思う」と話す。
男性は子どもの時にコソボからイギリスに渡った。今は週に一回、館内を案内したり子どもと遊んだりするボランティアだが、天皇、皇后両陛下の訪問は、日本に関心を持つきっかけとなったようだった。
日英両国の交流の場となった「ヤングV&A」。天皇、皇后両陛下の訪問でその存在感はさらに増しているようだ。
(ジャーナリスト 多賀幹子)
*AERAオンライン限定記事