4月、政治集会でケネディ家の15人から支持を受けたバイデン米大統領。無所属で大統領選に立候補表明しているロバート・ケネディ・ジュニア氏の妹、ケリー・ケネディ氏(右)らが駆けつけた=米東部フィラデルフィア

 しかしながら、公然と高齢不安が噴出しているあたり、米国には人種差別や性差別と同様、エイジズムも拭い難くあるのが現実か。

 和田氏は、バイデン氏の身体機能の状態について解説する。

「バイデン氏が言葉に詰まったり、フリーズしたりすることが多いのは、脳から身体の各器官や細胞に情報を伝達する〝脳の出力系〟が老化で衰えている可能性はあります。しかし、それは病的なものではなく、普通の高齢者であればよくあることなのです」

 バイデン氏もパフォーマンスの低下は十分自覚しているようだ。昨年11月の選挙集会で「私は以前ほど楽に歩けないし、以前ほどスムーズに話せない」と認めたうえで、「だが、真実を伝える方法は知っている」と強調した。和田氏はこう話す。

一流の脳科学者をブレーンに付けるべき

「ならば、一流の脳科学者をブレーンに付けて、脳の出力が衰えても判断力や政策には全く影響しない、と言わせるべきです。国民に向けて、サイエンティフィックに誤解を解くことが、何より重要。私だったらこう説明します。『言い間違いや、とっさに言葉が出ないのは想起障害であって全く異常なことではない。あなた方にだって起こることなのです』と」

 今回、演説中に銃撃を受けたトランプ氏は、21年に起きた米連邦議会襲撃事件では首謀者たちを「愛国者」と呼んでたたえている。暴力の行使が容認されかねない風潮に、和田氏は警鐘を鳴らす。

「世界各国で強いリーダー像が求められ、極右政党なども台頭しています。いま国際社会で『力に対する信奉』が強まっていることを危惧します」

 バイデン氏については、撤退する意向を表明する可能性があるとの報道が出始めている一方、バイデン氏陣営からは「最後まで戦う」といったコメントが出ているとも。運命の投票日は、11月5日。バイデン氏は撤退圧力を跳ね返せるのか。

(亀井洋志)

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