想起障害は、基本的にはどの年代にも起こり得る。もちろん、脳の上書きが増えれば増えるほど記憶は引き出しにくくなるから、人生経験を積んでいる人、つまり高齢者ほど起こりやすいという。けれども、他の人から「ほら、〇〇さんだよ」と指摘されればすぐに思い出せるのも想起障害の特徴だ。
「もうひとつは記銘力障害で、例えば5分前に聞いたことも覚えられません。こちらは脳のデータに書き込めていないわけですから、認知症の疑いがあります」
バイデン氏はワシントンで開かれたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議の関連式典で、ウクライナのゼレンスキー大統領を「みなさま、プーチン大統領です」と紹介した。
「すぐに言い間違いに気づき、『プーチンを倒すゼレンスキーだ』と機転を利かせていることからも、認知症の症状とは明らかに異なります」
許されるのは能力による差別
年齢による偏見や差別のことを「エイジズム」というが、米国では人種差別・性差別を禁止した公民権法に続いて、1967年に「雇用における年齢差別禁止法」が制定されている。
「ですから、米国では露骨な年齢差別はできないことになっています。ところが、日本では年齢差別をしても許される土壌が依然としてある。次期衆院選への不出馬を決めた二階俊博氏に『高齢が理由か』と聞いた記者がいましたが、明らかな年齢差別です。人口減や少子高齢化問題などを巡って『高齢者は集団自決するしかない』と言い放ったコメンテーターも、いまだにテレビに出続けています」
米国では人種、肌の色、宗教、性別、そして年齢に基づく雇用差別が禁じられているが、和田氏は「一つだけ許されるのは能力による差別」だという。
「入社試験や入学試験で黒人や女性、高齢者を差別してはいけませんが、能力が高い人を選別し、採用することは容認されています。ですから、バイデン氏は高齢だからダメではなく、この4年間の政策とその評価によって審判を受けるべきです」