ホワイトハウスでの日米首脳会談後、記者会見で質問に応じるバイデン米大統領=ワシントン.
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 右耳からしたたる鮮血をものともせず右拳を何度も突き上げたドナルド・トランプ前大統領(78)は、銃撃にひるむことない「強いリーダー」をアピールした。一方のバイデン大統領(81)は、高齢不安を理由に身内の民主党からさえも撤退要求の声が上がっている。スピーチで言い間違える、言葉にも覇気がない、転倒する。すっかり「弱々しいリーダー」の烙印を押されてしまった感がある。しかし、そうした理由による「バイデン降ろし」に異議を唱えるのは、精神科医で老年内科医でもある和田秀樹氏だ。背景には、エイジズム(年齢による差別)と、認知症への誤解があると話す。

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 和田氏は、今回の銃撃事件におけるトランプ氏の対応をこう評する。

「銃弾が耳を貫通して、普通であればトラウマになってもおかしくありません。それなのに、すぐさま健在ぶりを演じているのはやはり大したものです。大衆を動かすためには、強いリーダーでなければならないという確固たる自覚があるのでしょう」

「記憶障害」には2種類ある

 そして、バイデン氏については、こう言及した。

「だからといって、バイデン氏が弱くてダメな老人のように言われてしまっていることは問題だと思います」    

 バイデン氏はこの間、公の席で相手の名前を言い間違えたり、トランプ氏とのテレビ討論会で言葉に詰まったりするなど精彩を欠いてきた。このため、認知機能低下への懸念が支持者の間で一気に広まっていた。しかし、和田氏はこう指摘する。

「私が強く申し上げたいのは、バイデン氏は認知症の症状ではないということです」

 和田氏によれば、「記憶障害」には2種類あるという。

「一つは、想起障害です。久しぶりに会った人の名前が出てこないとか、知っているはずのことがなかなか言葉にならないなど、自分の脳には書き込まれているのに思い出せないなどのケースが挙げられます」

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