学びを仕事に還元 新しいビジネスにも挑戦

 ゼミでは、大手コンサルティング会社マッキンゼーの日本支社長などを務めた平野正雄教授に師事した。修士論文は『日本の民間放送におけるインターネット動画配信戦略の考察 コンテンツの生涯価値最大化に向けた提言』というテーマだ。

「国内外にさまざまな動画配信のプラットフォームがありますが、私たちの作るドラマやバラエティなどのコンテンツを、どこで配信すれば効果的に視聴されるかを分析しました」

 まさに、自らの業務とリンクする内容だ。TBSアナウンサーの公式SNSで大学院の修了を報告すると、仕事にも変化が生まれた。社内の「事業投資戦略部」から声がかかり、アナウンサー業と兼務することになった。

「事業投資戦略部とは、他社とTBSによる共同プロジェクトの創出などを担っている部署です。部内には投資部門もあり、私はその一員として、TBSと親和性のありそうな企業との面談に立ち会ったり、プロジェクトを進める際に社内の協業先を探すパイプ役を務めたりしています」

 決算発表会や株主総会の司会も務めなど、アナウンサーとしての特性も生かしながら、新たな自分の柱を構築しているところだ。

AERAムック『大学院・通信制大学2025』より 撮影/門間新弥 ヘアメイク/坂口勝俊

ゼミのモットーが人生のキーワードに

 30代までは自身の成長ばかりを追い求め、「自分に矢印が向いていた」と話す出水さん。40代を迎えたいま、どうしたら後輩たちが気持ちよく働けるかなどを考え、「人のために動きたい」という欲求が出てきた。これも、大学院に通って仕事の幅が広がったことで、視座が高まったからだと言う。

「ゼミのモットーが『世界は踏み出す人の前にある』という言葉でした。振り返ると、知人の言葉をきっかけに踏み出した自分自身とも重なります。先ほど話に出た黒柳徹子さんも、100歳になったら政治記者になりたいという夢を公言されて常に前進していらっしゃいます。尊敬する徹子さんの背中を追いかける上でも、ゼミの言葉は私の人生のキーワードと言えますね」

 ひとつ挑戦することで、将来の選択肢が枝葉のように幾重にも広がっていくことを実感しているという出水さん。最後に、はじける笑顔で言った。

「大学院修了後の展開は予想外のものでしたが、想像の100倍くらい良いものでした」

でみず・まい/1984年生まれ、東京都出身。2006年にアナウンサーとしてTBSに入社。『筑紫哲也NEWS23 』『王様のブランチ』『世界ふしぎ発見!』などの人気番組に出演。現在は『Nスタ』日曜版メインキャスターやBS-TBS『報道1930』などを担当。

文/中村さやか

※AERAムック『大学院・通信制大学2025』より

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