東京近郊で暮らす52歳の女性は長年専業主婦をしてきたが、今は学校司書として働いている。非正規雇用で収入は少ないが、家事のほとんどは夫と大学生の娘が行い、給与は全額小遣いになるという。

「夕飯はいつも一人でゆっくりと外食して、食後は9時頃までカフェで読書を楽しみます」

パートナーの意識影響

 女性の夫は数年前までメーカーに勤務し、子どもが幼い頃は働きづめだった。家事育児は女性がほぼ担ってきたが、その後夫は仕事を早期リタイア。現在は、妻が働くことを全面的に支えてくれているという。夫は子どもの頃、母親が仕事で忙しかったため弟たちとともに家事をこなしてきた。そんな経験から、女性が働くとなれば全力サポートするのを使命と考えている節があるという。

「専業主婦だった時は『夫が上』みたいな感覚は多少ありましたが今は全くありません。私はもともと性格がズボラなせいもあり、『自分が家事をやらなきゃ』という意識もない。夫にもそういう感覚がないからですかね」

 夫婦間において非正規雇用であることを「下」に感じてしまうのには、社会全体の仕組みに加えて、パートナーの意識も大きく影響しているようだ。非正規雇用の待遇改善と同時に、全ての認識を変えていく必要があるだろう。(ライター・大塚玲子)

AERA 2024年7月22日号より抜粋

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