“家事育児は収入が低い妻がやること”それっておかしいのでは?と疑問を感じる声が。では夫より妻の稼ぎが多い場合はどうなのか。AERA 2024年7月22日号より。
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2021年総務省「社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもを持つ夫婦の家事関連時間は、夫1時間54分に対して妻は7時間28分。妻が圧倒的に多い現実は、働き方の違いによって家庭内に生まれる「差別」も原因のひとつだろう。AERAが今年6月に行ったアンケートでも、非正規雇用であることがパートナーとの関係に影響しているとする声は複数見られた。
「自分の方が収入が低いので、多く家事分担をしないと、という気持ちにはなる」(東京都・48歳女性)
「勤務時間が短いこともあり、平日は家事育児をほぼ全て私がやることになるが釈然としない」(広島県・46歳女性)
「正社員のときは夫も協力的だったが非正規になってから家事育児全て任されてきた」(静岡県・50歳女性)
離婚理由は非正規雇用
中には、離婚に至ったケースもあった。
兵庫県の女性(48)は、13年前に離婚。非正規雇用も一因だったと感じている。当時、女性は公務員として働いており、勤務時間も仕事の中身も正規雇用の職員と変わらなかったが、元夫は女性を「下」に見た。
「家事全般を私がやるように言われていました。『非正規なんだから仕事ラクでしょ』と言われると、私も自分のほうが能力が劣っているような気がしてしまって。今なら『何をぬかす』と言い返すんですが(苦笑)」
と振り返る。女性は離婚後、雇用がフレキシブルである利点を生かし、さまざまな分野でキャリアを積み、「非正規雇用に誇りを持っている。誰もがそう考える社会になれば『上下』のような関係はなくなる」と考えているという。
では、男女が逆の場合はどうか。妻が正規雇用で夫が非正規雇用の場合、夫は「下」という感覚を抱くのだろうか。
『妻に稼がれる夫のジレンマ』の著者でジャーナリストの小西一禎さんは、こう話す。